日本料理の引き立て役「たけのこ」

HEALTH

2023.06.02

薬学博士 池上文雄先生に教わる、旬の食材の知られざるパワー。
身近な食べものの歴史や栄養、効果・効能を知って日々のインナーケアに役立てましょう!
第21回は「たけのこ(筍)」です。

 

たけのこは、春になるとイネ科のタケ類やササ類の地下茎から出る若芽の部分です。

日本や中国などの温帯や亜熱帯産ものは食用とされますが、一般には地上に稈(かん)が出現する前後のものだけを指します。

たけのこは地上に現れると次第に固くなり、えぐみも強くなるため、穂先が出るか出ないうちに収穫します。

旬は4~5月です。形はずんぐりして穂先が黄色っぽく、外皮はツヤがあり薄茶色のもので、根元の周囲に出た赤紫色の突起が小さめが良く、たけのこの種類によって歯ごたえや風味が異なり、さらに先端、中央部、根元部分でそれぞれ食感に違いがあります。

 

【たけのこの歴史】

 

 

日本では古来、竹林がある各地域で食用とされてきました。現代では、収穫作業が「竹の子掘り」として、季節の観光行事としても親しまれています。

日本でたけのことして食用とされるのは数種あります。
タケ類ではモウソウチク(孟宗竹)、ハチク(淡竹)、マダケ(真竹)、カンチク(寒竹)などです。ササ類ではカンザンチク(寒山竹)、ネマガリダケ(根曲がり竹、別名:チシマザサ)があります。

最も多く食べられているのはモウソウチクですが、タケ類の多くは中国が原産で、17世紀に渡来し広く分布していたとみられます。

ネマガリダケは日本原産の細くアク(灰汁)が少ない品種です。北海道や本州の日本海沿岸に多く自生し、美味なことで知られ、長野県から東北地方や北海道などで食用とされます。

 

【栄養と効果効能】


栄養成分は、タンパク質に富み、カリウムと食物繊維の含有量が多いのが特徴で、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンEなども含みます。

豊富な食物繊維は水に溶けない不溶性食物繊維のセルロースで、腸内の老廃物や有害物質を排出し、同時にコレステロールの吸収を阻害する健康に役立つ効果が期待されています。
カリウムは、高血圧の原因となるナトリウムを体外に排出して血圧を下げる働きがあるといわれ、茹でても量はあまり減少しないのが特徴です。亜鉛、銅などのミネラルも比較的多く含んでいます。

 

【美味しいたけのこの選び方・食べ方】

 

 

たけのこをおいしく食べるためには鮮度が重要です。掘り上げてからの鮮度落ちが極端に早く、時間が経つと硬くなると同時にアクが増えてえぐみが増すため、掘って収穫したその日のうちに調理するか、アク抜きして下ごしらえするのが理想といわれています。
直ぐに食べない場合は生のままではなく、下茹でしてから保存しましょう。

 

たけのこご飯や焼き物、煮物、汁物などと日本料理に欠かせない食材です。

ラーメンの具や酒のつまみとして人気のある、台湾の伝統食材のメンマは、たけのこを乳酸発酵させた漬物です。

 

 

加工品としては水煮の缶詰があります。水煮の断面に見られる白い粉状のものは、茹でることによって出てくるアミノ酸のチロシンなので取り除かずにそのまま食べられます。

いかがだったでしょうか?

煮ても炒めても美味しい旬の「たけのこ」を、ぜひ取り入れてくださいね。

 

 

 

■旬の食材で薬食ライフ 過去の記事

第1回「南瓜(カボチャ)編」
第2回「栗(クリ)」編
第3回「山芋(ヤマノイモ)」編
第4回「大根(ダイコン)」編
第5回「葱(ネギ)」編
第6回「白菜(ハクサイ)」編
第7回「苺(イチゴ)」編
第8回「独活(ウド)」編
第9回「アスパラガス」編
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