旬の食材で薬食ライフ
第5回 ネギ編

HEALTH

2022.02.24

薬学博士 池上文雄先生に教わる、旬の食材の知られざるパワー。
身近な食べものの歴史や栄養、効果・効能を知って日々のインナーケアに役立てましょう!

 

第5回目は「葱(ネギ)」編です。

 

 

 

【ネギの歴史】

ネギは、中国西部・中央アジア原産で、古墳時代に日本に伝わったと言われています。今日でも食用などに広く栽培されています。

ネギの花は、坊主頭や擬宝珠を連想させることから「葱坊主」や「擬宝珠」と呼ばれます。旬は冬ですが、1年中購入することができます。

 

 

 

【ネギの種類】

日本国内で食べられているネギは大きく分けて2種類あります。一般的には「ネギ」とは白ネギを指してます。その他にも、ワケギ、万能ネギ、九条ネギなどの固有名で呼んで区別します。

①白い部分が長い「長ネギ(根深ネギ・白ネギ)」は、東日本で好まれています。白い部分が長く、緑の部分と白い部分がはっきり分かれていて、光沢があるものを選びましょう。

 

②根元まで葉の緑色の「葉ねぎ(青ネギ)」は、西日本で好まれています。根元から葉先までまっすぐで青みが濃く、根がしっかりしているものを選びましょう。

 

 

【保存方法】

新聞紙に包んで、冷暗所に立てて保存しましょう。カットしたものは、ラップに包んで野菜室で保管します。細かく刻んで冷凍しておくと便利です。
泥つきの根深ネギは、庭先の土に斜めに埋めておけば長期保存も可能です。

 

 

 

【栄養成分】

ビタミンB1・C、β-カロテン、カルシウムや硫化アリルのアリシンなどを豊富に含みます。
アリシンは疲労回復や滋養強壮に効果があるとされています。ビタミンB1の吸収を助ける働きがあるため、豚肉など、ビタミンB1が豊富な食材と一緒に摂るのがおすすめです。
また、抗酸化作用や殺菌作用が期待できるため、風邪の引き始めには積極的に食べるようにしましょう。
血流を良くして体を温める効果もあるので、女性に多い冷え性の改善にも効果的です。
ネギ湯やネギの入った味噌汁を飲むことで血行が促進され、体温が上がり、冷えからくる頭痛や腹痛も解消します。

 

 

【効能・効果】

漢方では、ネギの根に近い白い部分を乾燥させたものを「葱白(そうはく)」と呼びます。
解表・解毒などの効能があり、古くから風邪の初期や頭痛、下痢、腹痛などに用いられます。

 

民間療法では、風邪の初期に新鮮な白い部分を細かく刻み、生みそと合わせて煮立て熱いうちに服用する「ネギ味噌」療法が有名です。
不眠症や咳、のどの痛みなどにはネギ湿布が用いられます。
また、不眠症や精神不安になった際に、ネギをたくさん食べれば解消してくれるとも言われています。

 

 

 

【食べ方】

ネギは生のまま食べると辛みがあり、煮込むと甘くとろりとした口当たりになります。うどんやすき焼きの具や、ねぎ焼きなど、幅広く使うことができます。

地方野菜の「曲がりネギ」や「下仁田ネギ」は鍋料理にぴったりです。ネギ坊主を活用したネギご飯も美味しいですね。

 

 

 

いかがだったでしょうか。
昔から風邪予防として食べられてきたネギ。
まだ寒い時期が続きそうですので、ネギパワーで体の中から温まりましょう!

 

 

■旬の食材で薬食ライフ 過去の記事

第1回「南瓜(カボチャ)編」
第2回「栗(クリ)」編
第3回「山芋(ヤマノイモ)」編
第4回「大根(ダイコン)」編