旬の食材で薬食ライフ
第1回 カボチャ編
HEALTH
2021.10.14
人は食べたものでつくられている。という言葉がありますが、毎日の食事の積み重ねは美容と健康に影響を与えます。
薬学博士 池上文雄先生に教わる、旬の食材の知られざるパワー。
身近な食べものの歴史や栄養、効果効能を知って、日々のインナーケアに役立てましょう!
第1回目は「南瓜(カボチャ)」編です。
カボチャの豆知識
カボチャはメキシコから南アメリカの高原地帯が原産で、16世紀にポルトガル船が大分県に漂着したときに、寄港地のカンボジアからもたらされたと伝えられています。
カボチャは「カンボジア」が訛ったものと言われています。
漢字表記の「南瓜」は中国語、九州や北陸の一部で使われる方言の「ぼうぶら」はポルトガル語に由来します。
普通にカボチャと言えば「栗かぼちゃ」「えびすカボチャ」のような西洋カボチャを指すようになりました。
一方、ハロウィーンのシンボルでもあるオレンジ色の「ペポカボチャ」(お化けカボチャ)は、大きいものでは100kgを超えるため、ちょっとした秋の芸術文化の立役者にもなっています。
カボチャの栄養と効能
カボチャは糖類、不飽和脂肪酸、アミノ酸(シトルリン・アルギニンなど)、アデニン、β-カロテン、ビタミンB群・C・E、ミネラル(カリウム・亜鉛など)を多く含む緑黄色野菜です。
緑黄色野菜は、視力の改善や冷え症、肩こりの改善に効果が期待できます。
中でも粘膜や皮膚の抵抗力を強くする「β-カロテン」を多く含んでおり、風邪の予防にも効果的です。
カボチャには「食物繊維」も豊富に含まれています。食物繊維は、コレステロール値を下げて便通を良くするため、大腸がんの予防にも最適な食材と言えます。
カボチャのビタミンCは、熱を加えても比較的安定しているので、煮物やスープにして食べるのも良いですね。
また漢方では、カボチャの果実は胃腸を温めて食欲を増進し、疲労倦怠や食欲不振に効果があるとされています。
さらにカボチャは野菜の中でも保存性が高いため、貯蔵して冬場に食べることも可能。
皮を部分的に残して角切り、櫛形切りにして煮る、焼く、揚げる、蒸す、、どんな調理法も美味しく食べられます。
カボチャをたくさん食べているとよく眠れるようになるといわれているため、睡眠不足で体調を崩しがちな方は、夜食に食べるのがおすすめ。
カロリーも100gあたり91 kcal と控え目です。糖質は100gあたり約17gと野菜の中では少々高めですが、栄養価が高く少量でも満腹感を得られます。
なんと、種にも薬効あり
カボチャは、普段は食べない種(パンプキンシード)にも栄養が豊富に含まれています。ここでは乾燥させて炒る、煎じて飲む方法をご紹介します。
種を乾煎りして細かく砕き、塩や胡椒を混ぜてふりかけにすると、動脈硬化の予防に効果のある「リノール酸」が摂れるのでおすすめです。
また、10~20gを煎じて服用すると利尿薬となり、痰の薬として風邪の症状やのどの痛みを和らげます。
高血圧の人は血圧を下げ、低血圧の人は血圧を上げる、血圧を調整する効果もあります。
近年、この種には排尿障害を改善する成分が含まれていることが明らかになりました。
男性は前立腺肥大による頻尿、女性は過活動膀胱による尿失禁などに効果があると注目されています。
いかがでしたか?
煮物やお菓子など「ほっこり」したイメージのあるカボチャですが、意外な薬効に驚かれたのではないでしょうか。
旬の野菜は味も栄養価もアップしているので、積極的に食事に取り入れていきましょう。