旬の食材で薬食ライフ
第4回 大根編
HEALTH
2022.01.19
薬学博士 池上文雄先生に教わる、旬の食材の知られざるパワー。
身近な食べものの歴史や栄養効果効能を知って、日々のインナーケアに役立てましょう!
第4回目は「大根(ダイコン)」編です。
【大根の歴史】
大根は中央アジア周辺原産で、日本には稲作と一緒に渡来されたと言われています。
弥生時代から栽培されており、古代から日本人が食べてきた代表的な根菜です。とても栄養豊富で、葉から根まで丸ごと食べることができます。
大根は一年中買うことができますが、本来の旬は秋から冬。
旬の大根は甘みが増すため、寒い時期に恋しくなる煮物やおでんにぴったりです!
【大根の種類】
大根は野菜の中でも地方品種が多く、古くから地域の食生活に根付いています。
品種によって根の部分の色や形は様々ですが、最も出回る一般的な品種は、長さが30cm程の白い「青首大根」と呼ばれるものです。
その他にも、鹿児島県の伝統野菜「桜島大根」のような40㎏以上のものや、根の長さが1m以上の「守口大根」、薬膳素材に適した「信州地大根」や「聖護院大根」などがあります。
【効果・効能】
①種
漢方の世界では、大根の種を天日干しにしたものを「萊菔子(らいふくし)」と呼びます。漢方薬には、利胆や去痰などの目的で配合されます。民間では、食中毒の際に砕いて飲まれます。
②根
大根おろしや、おろし汁は様々な場面で活用することができます。
胃もたれや二日酔いには、大根おろしを食べるか、おろし汁を盃1杯ほど食前に飲みます。風邪の発熱や咳には、おろし汁におろし生姜を少々加え、お湯を注いで飲みます。打ち身や捻挫の腫れには、おろし汁で冷湿布します。
③葉
切り傷や軽い熱傷、虫刺されには生葉の汁を塗ります。
冷え症や神経痛などには、葉を陰干しした「干葉(ひば)」を入浴剤として使います。
【おすすめの食べ方 栄養成分】
大根は部位によって特徴があるので、使い分けて調理しましょう。部位ごとの栄養成分と、おすすめの食べ方をご紹介します。
①根
〈栄養成分〉
大根の根には、辛み成分のシニグリンや数種類の酵素が含まれています。胃腸が弱って胸やけや胃もたれを起こしている時には、積極的に取り入れましょう。
また食物繊維が豊富なため、便秘解消にも期待できます。
シニグリン:血行促進、食欲増進、肉の脂肪を消化する働き
アミラーゼ:でんぷんを分解する酵素
プロテアーゼ:たんぱく質を分解する酵素
〈食べ方〉
葉に近い部分は甘みがあるため生のままサラダに。
中間部分はみずみずしく柔らかいため漬物や煮物に。
先端部分は一番辛みが強いため、すりおろして薬味にするのがおすすめです。
②葉
〈栄養成分〉
葉にはビタミン類やカルシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。
カリウム:利尿作用 むくみ解消
〈食べ方〉
新鮮なうちに刻んでごま油と塩(醤油)で炒めたり、おみそ汁に入れたりすると、栄養を余すことなく取り入れることができます。
炊き立てご飯に混ぜて、菜飯にするのもおすすめです。
③皮
〈栄養成分〉
普段は捨ててしまいがちな皮ですが、実は根の2倍のビタミンCが含まれています。
ビタミンC:コラーゲンの生成、抗酸化作用、鉄の吸収促進
〈食べ方〉
固い食感を活かして、きんぴらにするのがおすすめです。ビタミンCは水溶性で熱に弱いため、短時間でさっと調理しましょう。
年末年始の暴飲暴食、不規則な生活が尾をひいたり、寒さや乾燥もあって体調が崩れやすくなる時期です。
春の七草の一つに大根の和名「すずしろ」があることからも、大根は弱った胃腸を整えるのにとてもおすすめです!
栄養がたくさん詰まった旬の大根を、食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
■旬の食材で薬食ライフ 過去の記事