旬の食材で薬食ライフ
第2回 栗編
HEALTH
2021.11.15
人は食べたものでつくられている。という言葉がありますが、毎日の食事の積み重ねは美容と健康に影響を与えます。
薬学博士 池上文雄先生に教わる、旬の食材の知られざるパワー。
身近な食べものの歴史や栄養、効果効能を知って、日々のインナーケアに役立てましょう!
第2回目は「栗」編です。
栗の豆知識
栗は、日本や朝鮮半島南部原産のブナ科の落葉高木です。
日本では縄文時代初期から食べられていて、平安時代から栽培していた地域もあるそうです。
秋の日には森に出かけて栗の実を拾い、その場でいがから実を取りだして生のままで食べたり、家に持ち帰って栗ご飯で食べたりと、私たちは古くから恵まれた自然のおいしさを楽しんできました。
栗は世界中に多くの品種がありますが、大きく分けると日本栗・中国栗・ヨーロッパ栗・アメリカ栗の4種類があります。
日本栗は山で普通に見られる山栗(芝栗(しばぐり))を改良したもので、大粒な果実が特徴的な栗です。9~10月が旬になっています。
栗の栄養と効能
漢方では、栗の果実は栗子(りつし)、葉を栗葉(りつよう)、いがを栗毛毬(りつもうきゅう)といって古くから活用されています。
栗は、炭水化物・食物繊維・アミノ酸類・ビタミンB1・Cを多く含んでいます。
カリウムも豊富のため、食欲不振や高血圧予防などに効果があります。
栗は実だけではなく、葉や皮にも栄養が豊富に含まれています。
葉や皮に含まれているタンニンのアクチシミンAは、消炎・収れん作用があります。
そのため、化粧品などによるかぶれ、あせもなどの皮膚炎に効果が期待できます。
栗の葉ひとつかみ(20~30枚)を500mLの水で約半量に煎じた液は、色々な場面で活用することができます。やけどの際には冷湿布として使ったり、のどの痛みや腫れ、口内炎の際には煎じた液をうがい液として使うことができます。葉をお風呂に浮かべて、栗の葉風呂にするのもおすすめです。
渋皮は乾燥させたものをフライパンで少し焦げ目がつくくらい炒り、茶さじ1杯を急須に入れて、熱湯を注いで飲むとアトピーの改善にも効果が期待できます。
美味しい栗の選び方
美味しい栗を見極めるコツは、表面の皮が固く張りがあり、艶々した光沢があるものを選ぶことです。
栗は栗ご飯や栗おこわなどの料理だけでなく、モンブランや甘露煮をなどのスウィーツの食材としても欠かせない存在です。秋のうちに一度は、栗を使った料理やスウィーツを食べておきたいですね。
中国の芝栗は天津甘栗として市販されています。
栗の渋皮煮(甘露煮)は、惣菜用にお醤油を加えるタイプと、甘めに仕上げるタイプがあります。剥き栗の甘露煮を作る際には、クチナシの実を加えるときれいな色に仕上がります。
栗の牛乳羹(かん)
栗の牛乳羹(かん)には、高血圧、狭心症、動脈硬化や骨粗しょう症の予防効果があります。
①剥き栗200gを鍋に入れ、適量の水で20分ほど煮て、ミキサーに入れてペースト状にします。
②ペースト状にしたクリを鍋に入れ、牛乳100mL、コーン30g、クコの実15g、ギンナン5gを加えて火にかけます。
③全体がなじんだらお好みで砂糖を加えて火を止めます。
④容器に入れて冷やせば完成です。
いかがでしたか?
秋の味覚「栗」は実が美味しいだけではなく、葉や皮にも栄養が豊富に含まれているので、捨てることなく全て活用することができます。
旬の野菜は味も栄養価もアップしているので、積極的に食事に取り入れていきましょう。
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