旬の食材で薬食ライフ
第3回 山芋編

HEALTH

2021.12.20

 

 

人は食べたものでつくられている。という言葉がありますが、毎日の食事の積み重ねは美容と健康に影響を与えます。
薬学博士 池上文雄先生に教わる、旬の食材の知られざるパワー。
身近な食べものの歴史や栄養、効果効能を知って、日々のインナーケアに役立てましょう!

 

第3回目は「山芋(ヤマノイモ)」編です

 

 

ヤマノイモとは?

 

ヤマノイモは、日本原産のヤマノイモ科で、日当たりのよい山野に自生しています。ヤマノイモとは何かと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、皆さんがよく知っているとろろ芋のことです。
自然薯(じねんじょ)・長芋・大和芋などをまとめて山芋と呼ぶことが多く、ヤマノイモのことを自然薯(じねんじょ)と呼ぶのは、栽培品と区別するためです。
食べるだけではなく、薬用としても広く栽培されています。

 

筒状のナガイモ(長芋)は中国原産で、奈良時代頃に日本に渡来し、現在も広く栽培されています。
丸いツクネイモ(大和芋)や伊勢芋、掌形のイチョウイモなどはナガイモの地方品種です。
品種によって形や味に違いはありますが、基本的にどの種類も中が白くて粘り気があります。

 

 

栄養満点のヤマノイモ

 

ヤマノイモは古くから滋養強壮や消炎、咳を抑える効果などがあることが知られています。
根や茎には、栄養素が豊富に含まれています。

 

粘液質の食物繊維やマンナン、抗炎症作用のあるアラントインやステロイド(ジオスゲニンやβ-シトステロール)などを豊富に含んでいます。
またイモ類は、基本的には生のまま食べられないのですが、ヤマノイモは消化酵素のアミラーゼを含んでいるため消化吸収も良く、生でも胃もたれせずに美味しく食べることができます。

 

 

 

疲労回復の漢方「山薬(さんやく)」

 

中国の古医書『神農本草経』には、「寒熱邪気を除き、中を補い気力を益し肌肉を長ずる」とあり、漢方では乾燥させたヤマノイモを「山薬(さんやく)」と呼びます。
高齢者や体の弱い方の気力、体力を補う作用が期待されており、滋養強壮や疲労回復に効果があります。
山薬は1日10~15gを煎じて飲んだり、ヤマノイモを焼酎に漬けた山薬酒を、毎日寝る前に盃1杯飲むのもおすすめです。

 

簡単にできるおすすめレシピ

 

 

おうちでヤマノイモを手軽に取り入れる方法として、適度な大きさに切って網で焼いたり、生のまますり下ろして「とろろ」にするのがおすすめです。

とろろに海苔や卵黄を加えると、ビタミン類やミネラルも補うことができます。マグロ×とろろの組み合わせは相性抜群なので、山掛けごはんにするのも良いですね。

このように消化がよく栄養価の高いヤマノイモは、滋養強壮や疲労回復など、健康美の土台をつくる効果もあります。
寒さで代謝が落ちて風邪も引きやすくなる季節こそ、積極的に食卓に取り入れて行きましょう。

 

 

 

■旬の食材で薬食ライフ 過去の記事

第1回「南瓜(カボチャ)編」

第2回「栗(クリ)」編