夏バテ知らずのネバネバ食材「オクラ」
HEALTH
2022.08.01
薬学博士 池上文雄先生に教わる、旬の食材の知られざるパワー。
身近な食べものの歴史や栄養、効果・効能を知って日々のインナーケアに役立てましょう!
第12回は「オクラ」です。
【オクラの歴史】
オクラはアフリカ北東部原産のアオイ科で、紀元前二千年頃にはすでにエジプトで栽培されていた野菜です。日本には明治初期に伝えられました。原産地や熱帯では繰り返し果実をつける多年草ですが、寒さに弱く冬越しができないため日本では一年草です。
オクラという名は、アフリカでの呼び名が基になっています。オクラの粘りから、果実は「青納豆」の別名があります。
沖縄県や鹿児島県などではネリと呼ばれ、野菜として全国的に普及する前から食べられています。
スーパーでよく見かけるのは、断面が丸みを帯びた星型になる品種ですが、断面の丸い品種や、莢が暗紅色になる品種(赤オクラ)など多くの種類が栽培されています。
6月頃に黄色い花が咲きますが、同じ科のトロロアオイやハイビスカスなどに似て、黄色い花弁の真ん中に深紅の花芯をつけます。花は早朝に咲いて昼頃には終わるのですが、香りと粘り、甘さがあるのでクセの無い食べやすい食材として利用することができます。
【栄養と効果効能】
オクラを刻むとネバネバになるのは、水溶性食物繊維のペクチンや糖質のガラクタンにタンパク質が結合するためです。
これは肝臓や腎臓の働きを良くし、血糖値やコレステロール値を抑制します。また、胃の粘膜を保護する整腸作用があるので、便秘や下痢の改善に効果があります。
オクラは青菜の少ない夏場のビタミン源としても貴重です。
カリウム、カルシウム、リン、鉄などのミネラルも多く含まれていますので、夏バテ防止や高血圧、骨粗しょう症の予防にも効果があるとされています。
さらに、β-カロテンやビタミンA・B群・C・Eなども含んでいるため、生活習慣病の予防や肌を美しくしてくれます。
【美味しい食べ方】
若いさやは成長が早く、大きくなりすぎると繊維が発達して食感が悪くなりますので、購入の際には、小ぶりなものを選んでみてくださいね。
旬の夏の時期は生で食べるのが理想です。舌触りが良くなるように、塩をまぶして軽く揉んでから水洗いすると、表面のうぶ毛が取れます。
茹でる際に最初に切ってしまうと、ゆで湯がオクラの穴に入って料理の仕上がりが水っぽくなってしまいますので、短時間で丸ごと茹でるのがポイントです。ぬめりが苦手な方はじっくり茹でるとぬめりを取ることができますよ。
生あるいはさっと茹でて小口切りにし、カツオ節としょう油をかけたり、マヨネーズで和えたりすると美味しくいただけます。小さく刻んでみそ汁の具にするのも良いですね。
他にも、煮物、天ぷら、炒め物、酢の物など何にしても美味しい優秀野菜です。
すりおろしてとろろの代わりや、細かく刻んで納豆に混ぜると、納豆にはないビタミン類も摂ることができます。
いかがでしたか。独特のネバネバが特徴的なオクラは、食欲が落ちてしまう今の時期にピッタリな食材です!
夏バテ対策にもおすすめなオクラをぜひ食卓に取り入れましょう。
■旬の食材で薬食ライフ 過去の記事
第1回「南瓜(カボチャ)編」
第2回「栗(クリ)」編
第3回「山芋(ヤマノイモ)」編
第4回「大根(ダイコン)」編
第5回「葱(ネギ)」編
第6回「白菜(ハクサイ)」編
第7回「苺(イチゴ)」編
第8回「独活(ウド)」編
第9回「アスパラガス」編
第10回「キャベツ」編
第11回「ミョウガ(茗荷)」編