年中食べられる優秀野菜「キャベツ」

HEALTH

2022.06.15

薬学博士 池上文雄先生に教わる、旬の食材の知られざるパワー。

身近な食べものの歴史や栄養、効果・効能を知って日々のインナーケアに役立てましょう!

第10回は「キャベツ」です。

 

 

特段の旬はなく、春キャベツ、秋キャベツといわれて、ほとんど一年中入手することができます。

品種が多く、紫キャベツやちりめんキャベツなどがあります。

 

 

ちなみに、キャベツの品種は色々あります。

花を食用とするキャベツの一種がイタリアで品種改良されたブロッコリーで、蕾の状態の花序と茎を食用とします。

また、カリフラワーはブロッコリーの変種で、ともにビタミンB・Cやβ-カロテン、ミネラルの鉄などを豊富に含みます。

独特の苦みが特徴のケールは、キャベツとは違って葉が重なって球状になりませんが、

地中海沿岸が原産のキャベツの原種に近いものです。

栄養が豊富でビタミン類の含有量は緑黄色野菜の中でも多いことから、青汁の材料として利用されています。

 

和名のキャベツは、英語のキャベジが訛ったものですが、キャベジはラテン語のカプットが由来です。

 

 

【キャベツの歴史】

ヨーロッパの大西洋岸と地中海沿岸原産のアブラナ科の二年草で、明治初期に渡来して以降、食用野菜として広く栽培されています。外葉が大きく広がった花のように美しい見た目から、最初の頃は観賞用に栽培していたといわれます。

 

キャベツは古代エジプト人にも知られていて、食事の後に甘い料理としてキャベツの煮物を食べ、さまざまな病気の薬になると考えていました。古代ギリシャの数学者ピタゴラスは、「常に元気と明るい落ち着いた気分とを保つ野菜である」と書いています。

 

また二千年前、ローマの政治家カトーは、「キャベツは素晴らしい野菜である。生で食べても煮ても良い。生で食べたいときは酢に浸すと消化が良くなり健康に良い」と記しています。

 

さらに古代の医者は、子供たちが丈夫であらゆる病気に強く育つよう、子供達に食べさせることを特に勧めたといわれています。

このように大昔から薬と考えられているキャベツを野菜として食べることは、健康のために大変良いことです。

 

 

【栄養と効果・効能】

時季や品種によって多少異なりますが、キャベツには水分92%のほか、タンパク質、糖質、食物繊維やビタミンCなどのビタミン類が豊富に含まれます。

また、ビタミンU(キャベジン)、アミノ酸のグルタミン、アスパラギン酸、スレオニンなどを含みます。アブラナ科の野菜に特徴の硫黄化合物のイソチオシアネートも含みます。

 

 

ヨーロッパでは古くから薬草療法に用いられ、煮て食べると胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防になります。ちなみに、抗潰瘍作用があり胃腸薬にもなっている「キャベジン」はキャベツから発見されたものです。

新鮮な葉を平らに伸ばして患部に数枚重ねて温湿布すると、痛風、坐骨神経痛、筋肉痛などの痛みを和らげるといわれます。

 

【おすすめの食べ方】

キャベツには胃もたれを改善する効果があります。

そのため、トンカツなどの揚げ物と千切りキャベツは相性抜群の組み合わせなんですよ。

 

また、食物繊維が豊富なので生で食べるだけではなく、青汁にして飲めば便通を整えることも期待できます。

 

 

いかがだったでしょうか。

キャベツはスーパーでいつでも購入することができるので、何気なく食べている方も多いのではないでしょうか。実は栄養を豊富に含んだ野菜なのです。

 

他の食材との食べ合わせを考えながら献立を考えるのは手間がかかるものの、美味しい食事を楽しむために必要な時間かもしれませんね。

 

 

 

■旬の食材で薬食ライフ 過去の記事

第1回「南瓜(カボチャ)編」
第2回「栗(クリ)」編
第3回「山芋(ヤマノイモ)」編
第4回「大根(ダイコン)」編
第5回「葱(ネギ)」編
第6回「白菜(ハクサイ)」編
第7回「苺(イチゴ)」編
第8回「独活(ウド)」編
第9回「アスパラガス」編