旬の食材で薬食ライフ
第6回 白菜
HEALTH
2022.04.12
薬学博士 池上文雄先生に教わる、旬の食材の知られざるパワー。
身近な食べものの歴史や栄養、効果・効能を知って日々のインナーケアに役立てましょう!
第6回目は「白菜(ハクサイ)」編です。
白菜と言えば冬の野菜。今の時期、旬は少し過ぎていますが、3月~5月頃まで収穫されるものは「春白菜」と呼ばれ、寒い時期に定植をして成長する段階でだんだん暖かくなるため、葉がやわらかく、優しい甘みとみずみずしさを楽しむことができます。
【ハクサイの歴史】
ハクサイは、地中海沿岸地方が原産のアブラナ科の二年草で、当初は漬け菜のような白菜(しろな)に近かったものが、紀元前に中国へ伝播した後に品種改良を重ね、日本へは明治初期に導入されて栽培が始まったといわれます。
中国に伝わったハクサイの原種からは「カブ」や「チンゲンサイ」などの様々な野菜も生まれました。
我が国で現在のような結球型となって食べられるようになったのは20世紀に入ってからで、その普及は数多の努力による育種の成功によるところが大きく、現在の生産量はダイコン、キャベツに次いで3番目です。
【ハクサイの種類】
現在、最も出回るのは葉が頭部まで重なっている円筒型(包被型)です。
また漬物用に葉が頭部では重ならない砲弾型(抱合型)や頭部が開く関東に多い半結球ハクサイも流通しています。
【栄養成分と効能】
ハクサイは色も薄く、水分含量が95%以上なので栄養価が低いと思われますが、ビタミンB群・C、カリウム、カルシウム、鉄などのミネラル、カロテンなどがバランスよく含まれ、栄養価は外側ほど高い傾向があります。
比較的多く含まれているビタミンCは、免疫力を高める働きがあり、かぜ予防や美肌作りにも有効です。
カリウムは体内の水分バランスを整えて高血圧を予防し、食物繊維は腸内環境を整えます。
うま味成分のグルタミン酸は芯の部分に多く含まれます。
また抗がん作用のあるイソチオシアネートを含み、体を温める作用もあるので、冬の鍋の具として定番ですよね。
ハクサイの性味は甘・平で、胃を養う、利尿などの効能があります。漢方や民間療法では、消化器を健やかにし、便秘にも良いとされ、新鮮な葉をスープなどに煮込んで食します。
【食べ方】
ハクサイは他の野菜に比べて保存性に優れていて、霜に当たると甘味が出てさらに美味しくなります。
キャベツなどと比べると柔らかいので、日本では加熱して用いることが多いですが、アメリカでは主にサラダ用として広まっています。
生ではシャキシャキした歯触りがあり、少し硬めの葉は炒め物などがおいしく、柔らかい内葉は煮込むと甘味も出てくるので鍋料理や煮物、汁物に最適です。
チキンのロール白菜や白菜の黒酢和えなどの薬膳料理もあります。
なお、ハクサイのビタミンは水溶性なので、鍋で食べるときには汁もとることが必要です。塩漬けにしてもビタミンが失われることが少ないので、浅漬け、キムチなどの漬け物に適しています。
クセがないので色々な料理に使えて、食べやすく消化も良いため食欲のない時の栄養補給に最適です。
低カロリーなので、ダイエットや美肌作りにも効果が期待できそうです。
体に優しいハクサイを、ぜひ食卓に取り入れてみてください。
■旬の食材で薬食ライフ 過去の記事
第1回「南瓜(カボチャ)編」
第2回「栗(クリ)」編
第3回「山芋(ヤマノイモ)」編
第4回「大根(ダイコン)」編
第5回「葱(ネギ)」編
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