鮮やかな緑の「アスパラガス」で食卓に彩りを
HEALTH
2022.05.09
薬学博士 池上文雄先生に教わる、旬の食材の知られざるパワー。
身近な食べものの歴史や栄養、効果・効能を知って日々のインナーケアに役立てましょう!
第9回目は「アスパラガス」です。
【これからが旬のアスパラガス】
色鮮やかな緑が食卓に彩りを添えてくれる「アスパラガス」は、野菜の中でも常にベスト10に入る人気の緑黄色野菜です。
旬は初夏、まさにこれから美味しくなる季節です!
まっすぐに伸びた円柱状の茎から分枝し、葉はうろこ状に退化しています。
成長すると細かく分枝した茎が生い茂り、夏には黄緑色の鐘形の花をつけます。
和名では「オランダキジカクシ」と呼び、雉が隠れるほどに生い茂る様子を表現しています。
アスパラガスは地中海東部を原産とし、世界中で栽培されているキジカクシ科(旧ユリ科)の多年草です。
ヨーロッパでは古代ギリシャ時代から栽培され、日本には江戸時代にオランダ船から鑑賞用として伝えられています。食用として導入されたのは明治時代、そして本格的な栽培が始まったのは大正時代からです。
【栄養と効果・効能】
ホワイトアスパラガス
アスパラガスには、土を被せて日光を当てずに育てた「ホワイトアスパラガス」と、普通に育てた「グリーンアスパラガス」があります。地中で育てられるため白く、アクが少なく柔らかいのが特徴です。
最近ではアントシアニン色素の多い紫アスパラガスが登場しましたが、加熱すると紫色は失われグリーンアスパラガスと変わらない見た目になります。
アスパラガスに含まれる栄養素として有名なのが、疲労回復やスタミナ増強に効果のあるアミノ酸の一種・アスパラギン酸です。このアミノ酸は、アスパラガスから発見されたことに因んで命名されました。
茎にはビタミンB1・B2・C・Eやβ-カロテン、葉酸、亜鉛などが含まれています。穂先には、ポリフェノールのルチンが豊富に含まれており、ビタミンCの吸収を促進するので抗酸化作用も期待でき、アンチエイジングや認知症予防に効果があるとされています。
根には、ポリフェノールのルチンやクマリン、コレステロールを減らす作用が期待できるサポニンのほか、近年注目されている、強力な抗酸化成分であるグルタチオンが含まれています。
ヨーロッパでは、古くから塊根の煎じ液は利尿薬として知られてきました。ドイツでは医薬品として膀胱炎や腎臓結石の予防に用いられています。
民間療法では、若い茎を鎮咳、利尿、高血圧予防、スタミナ増強、血液浄化、疲労回復に食べます。また、冬場に掘り上げて乾燥した塊根を、1日量3~9gとして400~600mlの水で約半量になるまで煎じて3回に分けて服用すると、鎮咳、利尿に効果があります。
【アスパラガスの美味しい食べ方】
アスパラガスを美味しく食べるためには、まず選び方が大切!全体に緑色が濃く、太さが均一なものを選びましょう。また、穂先はピンとしていて穂がしっかりしまっているものがおすすめです。
アスパラガスは、茹でても炒めても、焼いても美味しく召し上がることができる野菜です。アスパラガスの皮は固いことが多いので、茹でる前に皮をむくようにしましょう。
むいた皮は一緒にゆでると風味が良くなりますので、お鍋に一緒に入れてみてくださいね。
いかがだったでしょうか。
普段の食事に色鮮やかな野菜料理が1品あるだけで、少し華やかな印象になりますよね。これからの時期にピッタリな「アスパラガス」を、ぜひ食卓に取り入れてみてください。
■旬の食材で薬食ライフ 過去の記事
第1回「南瓜(カボチャ)編」
第2回「栗(クリ)」編
第3回「山芋(ヤマノイモ)」編
第4回「大根(ダイコン)」編
第5回「葱(ネギ)」編
第6回「白菜(ハクサイ)」編
第7回「苺(イチゴ)」編
第8回「独活(ウド)」編