真っ赤な宝石「苺」で美肌作り

HEALTH

2022.04.23

薬学博士 池上文雄先生に教わる、旬の食材の知られざるパワー。
身近な食べものの歴史や栄養、効果・効能を知って日々のインナーケアに役立てましょう!
第7回目は「苺(イチゴ)」です。

 

美肌をつくり、免疫力を高めるビタミンCたっぷりの果物の女王と言えば、真っ赤で可愛らしい見た目の苺です。4~5粒食べれば1日の必要量の半分を摂ることができます。

 

 

 

 

【苺の歴史】

 

苺は南アメリカ原産のバラ科の多年草で、栽培が始まったのは18世紀のオランダと言われています。ヨーロッパに渡りワイルドストロベリーが改良され、現在流通しているものは、ほぼ全てオランダイチゴ属の栽培品種のオランダイチゴです。

 

日本の古い時代の苺は別物で、ナワシロイチゴやモミジイチゴなどの木本性のキイチゴ類でした。和名は、『日本書紀』には「伊致寐姑(いちびこ)」とあり、「イチビコ」が転じて「苺」になったと考えられています。

 

苺の赤い部分は果実ではなく、花托が発達した花の一部です。実は、種のように見える粒々の部分が果実なのです。
独特の芳香があり、甘みがあるため果物として位置づけられることが多いのですが、野菜として扱われることもあります。

 

 

【美味しい苺の見分け方と種類】

 

美味しい苺の見分け方のポイントは3つあります。
・色が鮮やかで傷がないもの
・粒々がはっきりとしているもの
・ヘタの緑色が鮮やかなもの

 

買ってきたらラップに包んで冷蔵庫の野菜室で保存します。
あまり日持ちはしないので、早めに食べるのがおすすめですが、余った場合には洗わずにヘタをつけたまま冷蔵庫または野菜室で保存するようにしましょう。

 

露地物の旬は3月〜4月ごろですが、ハウス栽培が盛んになってからは12月ごろから店頭に並ぶようになりました。
近年では品種改良も進み、「あまおう」「紅ほっぺ」「とちおとめ」「さちのか」「さがほのか」など約300種類の苺があります。露地物は甘さが強くて美味しく、家庭菜園でも簡単に栽培できます。

 

 

 

【栄養成分と効能】

苺は約90%が水分ですが、栄養を豊富に含んでいる食材です。

 

ビタミンC
風邪の予防や疲労の回復、肌荒れなどに効果があります。水溶性のビタミンで熱に弱いため、生で食べるのがおすすめです。

 

アントシアニン
ポリフェノールの一種で強い抗酸化作用があります。目の疲れやぼやけるといった症状を改善する効果が期待できます。

 

ペクチン
食物繊維の一種であるペクチンは、血糖値の急な上昇を防ぎ、コレステロール値を下げる働きがあります。また、腸内環境を整えて生活習慣病の予防や改善にも効果が期待できます。

 

他にも、タンパク質、糖アルコールのキシリトールも豊富です。カリウムなどのミネラル、ナイアシンなどのビタミン類、アスパラギン酸などのアミノ酸類なども含んでいます。

 

【鮮やかなルビーレッドの苺酒】

 

苺と言えば生のまま食べるのが定番ですが、ジャムにしてヨーグルトに混ぜたり、アイスクリームやショートケーキなどの洋菓子、いちご大福などの和菓子の材料にも使われています。

 

そして、苺の香りと味がしっかり残る、鮮やかなルビーレッドの「苺酒」もおすすめです。

 

 

 

<作り方>
I.  旬の苺600gを洗って水切りしてヘタを取ります。
II. 砂糖200gとともにホワイトリカー1.8Lに漬け込み、密閉します。
III. できるだけ涼しい場所に2~4か月置きます。
IV.  果実を取り出し、布でこしたら出来上がりです。

 

1日の摂取目安量は20~30mLです。
素敵なグラスに注げば、素敵な夜のひとときにピッタリの果実酒です♡
漬け込む期間が長くなるほどコクが出るので、味の変化を楽しみながら少しずつ飲むのも良いですね。

 

お好みの品種を探して、美肌作りのために食卓に取り入れてみてくださいね。

 

 

■旬の食材で薬食ライフ 過去の記事

第1回「南瓜(カボチャ)編」
第2回「栗(クリ)」編
第3回「山芋(ヤマノイモ)」編
第4回「大根(ダイコン)」編
第5回「葱(ネギ)」編
第6回「白菜(ハクサイ)」編