和のスーパーフード「小豆」

HEALTH

2023.01.19

薬学博士 池上文雄先生に教わる、旬の食材の知られざるパワー。
身近な食べものの歴史や栄養、効果・効能を知って日々のインナーケアに役立てましょう!
第17回は「小豆(アズキ)」です。

 

【小豆の歴史】

小豆(アズキ)は中国原産で、古来より果菜としてアジアを中心に栽培されています。

日本には、3~8世紀の間に中国から渡来したのではないかとされていて、今でも国内での栽培量が最も多いマメ科の一年草です。

大豆に対して豆が小さいことから、「小豆」と和名がつけられました。

 

 

平安時代の『和名抄(わみょうしょう)』には「本草は赤小豆と云う」として和名は阿加安豆木(あかあずき)としています。

江戸時代にはいくつかの品種も生まれ、江戸時代の本草学者である貝原益軒の『和漢名数(わかんめいすう)』には、赤小豆や紫蘇(赤ジソ)、菊花などは香りを生命とする食べ物だから新鮮なものが良いということが記されています。

 

 

【栄養と効果効能】

小豆はフラボン配糖体のロビニンのほか、パルミチン酸、ステアリン酸、フィトステロールや結晶性サポニン、リンや鉄などのミネラルなどを含みます。

漢方では赤小豆(せきしょうず)と称し、味は甘・酸、性は平で、利尿、消炎の効能があり、腎炎や脚気、栄養障害にみられるむくみ、下痢、下血などに用いられます。

特に、脚気や肝硬変の腹水、腎炎によるむくみには赤小豆と鯉魚(りぎょ)を一緒に煮込んで服用します。

 

 

民間療法では、市販の小豆20~30g(1合)を4~5倍の水で煮た小豆粥(あずきがゆ)は昔から脚気の妙薬といわれ、1日3回に分けて服用します。母乳の出が悪いときや、老人の便秘、二日酔いにも効果があります。

また、小豆1日量約30gとして400mlの水で約半量になるまで煎じて3回に分けて服用すると、腎炎、ネフローゼ症などのむくみに効果があります。

 

 

小豆には肝臓と腎臓を強くする薬効があるとともに、小豆の赤色と稲作民族における呪術(じゅじゅつ)が結びついて、古くから祭祀の場において用いられてきました。小正月の1月15日に、邪気を払い一年の健康を願って小豆粥を食べる風習があります。

 

 

小豆は、世界中で日本人だけに好まれる特異な存在となっています。小豆粥やお祝いの席で食べることが多いお赤飯や、餡(あん)にして和菓子の原料として広く用いられています。

お赤飯は、小豆の特性にお米が組み合わされ、さらに塩が入ることにより腎機能が活発になり、それにつれて肝機能も強く働くようになります。おいしく食べられて、しかも健康になれる食材です。

 

 

いかがだったでしょうか。

食事や甘味など、幅広くアレンジできる小豆を、ぜひ食卓に取り入れてみてくださいね。

 

 

 

 

■旬の食材で薬食ライフ 過去の記事

第1回「南瓜(カボチャ)編」
第2回「栗(クリ)」編
第3回「山芋(ヤマノイモ)」編
第4回「大根(ダイコン)」編
第5回「葱(ネギ)」編
第6回「白菜(ハクサイ)」編
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第8回「独活(ウド)」編
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