免疫を高めたい冬こそ「ニンジン」

HEALTH

2024.12.15

生食でも、蒸しても、茹でても、揚げても、煮込んでも、炒めても・・・!

さまざまな調理法で楽しめて、スーパーで手軽に購入できる、万能なお野菜✨

食卓に彩を添える「ニンジン」について、池上先生に伺いました🥕🖊

 

ニンジン(人参)

 

中央アジア原産のセリ科の二年草で、食用に世界各国で広く栽培されています。

我が国には、江戸時代の前期に長根種が渡来したと考えられています。漢方薬に用いられる人参(オタネニンジン)に似ていることからニンジン(人参)と呼ばれるようになりました。セリニンジン、ナニンジンの別名もあります。

ヨーロッパでは2000年以上の歴史をもち、15世紀にオランダで改良された品質の良いものが全世界に広がり、各地に定着しました。

 

「ニンジン栽培光景」

📷池上先生撮影📷

 

江戸時代の『大和本草(やまとほんぞう)』には、当時のニンジンは長形の種類で、既に2品種があったことが記されています。

今日流通している西洋系の短い種類は江戸時代末期から明治初期になってから導入されたものです。市場には根が濃い赤色の金時ニンジンなどの東洋種(長根系)と黄みを帯びた(オレンジ色)西洋種(短根系)がありますが、食用には甘みがあり香りにあまりくせのない西洋種が主流となっています。

薬膳素材の観点から人参の品種について健康機能性を指標に調べた研究から、京野菜の一つの金時ニンジンなどのような地方の伝統野菜といわれる長根種には主観的にも客観的にも高い評価の品種があります。

葉にはダウシンなどのアルカロイド、根にはβ-カロテン、リコピンなどのカロテノイドやビタミンB1・B2・C・Eなどが含まれます。

黄色色素のカロテノイドには強い抗酸化作用があり、がんや生活習慣病を予防します。特に、β-カロテンは肺がんやすい臓がんを抑えることが知られています。また根には、カリウムやカルシウムなどのミネラルや食物繊維も豊富で、カリウムは高血圧予防に、カルシウムは骨や歯の強化に、食物繊維は便秘解消に役立ちます。

民間療法では、細かく刻んだ生の葉茎を、1日量30gとして500mLの水で約半量に煮つめてうがい薬とすると、口内炎、扁桃炎に効果があります。

乳幼児の下痢止めには、根をすり下ろして汁を絞り、薄味のスープにして少量を飲ませます。また、刻んだ葉茎を布袋に入れて浴湯料とすると、香りも良く、体が温まり、冷え症や腰痛、肩こりなどに効果があります。

 

「金時ニンジン」

📷池上先生撮影📷

 

冬が旬です。根、葉茎を必要時に採取して生のまま用います。根には体内でビタミンAに変わるβ-カロテンやビタミンCが豊富で、また抗酸化力のある成分は皮の部分に多く含まれていますので、皮ごと食べるのが良いでしょう。

野菜ジュースとして最も優れているので、キャベツやトマト、リンゴ、レモンなどと一緒に毎日飲むと、特に貧血症や病後の回復に良いものです。葉茎もそのままか、茹でてお浸しやゴマ和えなどにして食用にすることもでき、ビタミンCは根よりも多く含まれています。

ニンジンに含まれるアスコルビナーゼという酵素はビタミンCを分解しますが、この酵素は酸や熱に弱いので、加熱調理するか、他の野菜と一緒に摂るときは酢の入ったドレッシングをかけたり、ジュースならレモン汁を入れるなどすれば問題ありません。またβ-カロテンは脂溶性ですから、油と一緒に摂ると吸収率が上がりますので、きんぴら、バター炒め、野菜炒めなどにして食べると良いでしょう。タンパク質もβ-カロテンの吸収を助けますので、肉料理の付け合わせにも適しています。

 

「五寸ニンジン」

📷池上先生撮影📷

 

 

栄養価も満点で、手軽に購入できる「ニンジン」🥕

朝はジュースにしていただいたり、夜は炒め料理でいただいたり工夫しながらいただくのも楽しみの一つになりそうです😊🍃

冬は、免疫力をつけておくことが重要ですので、是非「ニンジン」を日々の食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

池上先生、また次回のコラムも楽しみにしております✨

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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