とにかく万能!夏バテ予防に最適な「トマト」

HEALTH

2024.06.26

まあるいフォルムがどこか愛らしく、お料理に彩を生む・・・

煮てもよし、焼いてもよし、炒めてもよし、もちろんそのままでも美味しくいただける。

そんなトマトについて、池上先生に伺います😊🍅

 

【トマト】

アンデス山脈高原地帯が原産のナス科の多年草で、16世紀にスペイン人によって南イタリア(当時はスペイン領)に伝えられました。
やがて原産地のチェリートマトから、長い年月をかけて大きな赤い実をつけるように品種改良されました。

そして、地中海料理(特にイタリア料理)に取り込まれ、18世紀の終わり頃、イタリアからの移民によってアメリカに伝えられました。

19世紀にはイタリアやアメリカで大規模な栽培と缶詰製造が始まって多量に消費されるようになりましたが、世界中に広がったのは20世紀に入ってからです。

日本には江戸時代に長崎へ伝わったのが最初とされますが、食用として利用されるようになったのは明治以降で、さらに日本人の味覚にあった品種の育成が盛んになったのは昭和に入ってからでした。

 

桃太郎🍅

📷池上先生撮影📷

 

現在では300種を超えるトマトが品種登録されていて、野菜類の登録品種数の中でも際立っています。

世界では多くの品種が赤系トマトですが、国産の品種は生食用として栽培されるものは桃太郎に代表されるピンク系のものが殆どであり、赤系のものは中玉のフルティカ、ミニトマトのキャロルスター品種です。
しかし近年になって、赤系トマトには、抗酸化作用のあるリコペンが多量に含まれていることからその利用が見直されています。

なお、品種によって酸味、甘みの度合いがかなり異なり、また皮の硬さも異なるので、用途に適したものを選んで使うのがコツです。果実の大きさによる分類では、品種とは関係なく、大玉(200グラム以上)、ミニ(20~30グラム)、中玉(ミディ)に分類されます。

 

 

 

トマトの語源はナワトル語(インディアンが話す言語)でホオズキの実を意味する「トマトゥル」に由来しています。我が国では、赤茄子(あかなす)の別名もあります。

日本人が好むトマトは、「トマトが赤くなると医者が青くなる」というヨーロッパのことわざが示すように、健康機能性の高い大切な食材です。

 

フルティカ種栽培の光景🍅

📷池上先生撮影📷

 

【漢方としての役割】

果実にはビタミンA、Cなどを多く含み、また、多くのミネラル、クエン酸やリンゴ酸、リコペン(リコピン)を含みますが、その含量は品種や栽培方法などによって異なります。またトマトの種子にはアルカロイド配糖体のトマチンが含まれ、体内で女性ホルモンに変わることが知られています。

漢方では、熟した新鮮な果実を蕃茄(ばんか)と称して、性味は甘酸・微寒で、主に止渇、健胃に用いられます。

効能としては、熟した果実を食用として生で食べることにより、血管を強化し、血栓や動脈硬化の予防、しみやそばかすなどの肌荒れを防ぐとともに、脳卒中の予防、疲労回復、健胃、女性ホルモンの補給などに効果があります。

暑い夏場に野菜ジュースとして、レモンやニンジン、ケールなどと混ぜて飲むと、体を冷やし栄養効果もあって夏バテや熱中症の予防にもなります。

 

 

 

 

トマトは春~初夏と秋~初冬がおいしいとされていて、夏が旬の時季とはいえませんが、家庭菜園などで栽培して成熟時に収穫します。またスーパーや八百屋などで購入できます。

野菜サラダや焼きトマトなど、そのままを味わう料理が数多くありますが、手を加えた料理でよく知られているものにイタリア料理の各種ピザ、パスタ用ソースなどや中華料理のトマトと卵のスープがあります。
皮の部分に多く含まれているリコペンは脂溶性なので、油と一緒に摂ると吸収が高まり、さらに加熱することで吸収率も高まりますので、トマトは油で炒めて食べるのがお勧めです。

 

 

 

トマトは手軽にいただける食材ですので、夏バテ予防に是非日々の食卓に取り入れてみてください🍅
次回の薬食ライフもどうぞお楽しみに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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