春の訪れを感じさせる「ウド」

HEALTH

2022.04.27

薬学博士 池上文雄先生に教わる、旬の食材の知られざるパワー。
身近な食べものの歴史や栄養、効果・効能を知って日々のインナーケアに役立てましょう!
第8回目は「ウド(独活)」です。

 

 

 

【香り豊かな春の山菜】

 

山野の日当たりの良いところに自生するウドは、日本原産のウコギ科の多年草で、春の山菜や野菜として知られます。若い葉や茎は独特の香りと爽やかな苦味が特徴です。

スーパーなどで見かけるウドの多くは、畑で軟白栽培されたものです。東京を中心に関東各地で栽培されていますが、中でも三鷹市、立川市などが多く、中国地方の大山ウドも有名です。

旬は春3月~4月で若い茎や葉を採取します。「山ウド」は収穫できる期間が非常に短く、ごく限られた時期にしか採れない、貴重な食材です。「白ウド」は、茎葉を白く柔らかく育てる軟白栽培で育て、3月頃から5月にかけて出荷されます。

 

 

ウドの栽培畑

 

 

【ウドの歴史】

 

軟白されてできた若芽は春の香りも高く、古くから和え物に活用されてきました。
江戸時代中期の『農業全書』には、当時からすでに軟白して食べたことが書かれていて、江戸時代の後半から「東京ウド」は特産品として成り立ったといわれています。初物を好む江戸っ子にとって春の訪れを感じる粋な楽しみのひとつでした。

 

 

【栄養と効果効能】

 

若芽にはミネラルのカリウムやカルシウム、食物繊維、タンニン、精油、ビタミンB2・Cを含んでいます。
根茎にはポリフェノール、ジテルペノイド、精油のピネンやセリネンなどが含まれます。

 

民間療法では、秋に地上部が枯れてから根茎を掘り採り、水洗して外皮を剥ぎ、刻んで天日で乾燥してから用います。
乾燥させた茎根を、1日量5~10gとして500mlの水で約半量になるまで煎じて3回に分けて服用すると、かぜの解熱や頭痛、神経痛などに効果があります。

 

打ち身などには濃いめに煎じた液で温湿布をします。

 

また、刻んで乾燥した根茎や茎・葉を5cm程度に刻んで布袋に入れて浴湯料とすると体が温まり、冷え症や神経痛に効くとされます。

 

若芽は食用とすると食欲増進になります。特に野生品は軟白したものと比べると香りと風味が強いので、より効果が期待できます。

 

 

 

【美味しいウドの選び方】

 

新鮮でおいしいウドを選ぶ際のポイントは4つあります。

 

・大きすぎないもの
大きすぎず小さすぎず、30~40cmの長さのものが柔らかくて食べやすいです。

 

・ツヤがあり、白く太いもの
表面にツヤがあるものは新鮮な証拠です。
軟白ウドは白く太いもの、山ウドは太さが均一なものが良い食感のものです。

 

・みずみずしく、まっすぐ伸びているもの
芽までまっすぐ伸びており、穂先はピンとハリがあるものを選びましょう。

 

・産毛が密に生えているもの
産毛が痛いと感じる程度にしっかりと生えているものが新鮮な証拠です。

 

 

【食べ方】

 

ウドを召し上がる際には、しっかりとアク抜きをしましょう。
水2カップに対して大さじ1杯の食酢を入れて酢水を作り、その中に20分程度浸しておきます。これだけで、アクが抜けて美味しく食べることができますよ。

 

若芽や若葉、茎、つぼみなどが食用とされます。
春先に土から顔を出している若芽を見つけたら周りを掘り、土の中の茎の根元からナイフなどで切り取ります。

若い茎の部分は皮をむいてから水にさらしてアクを抜き、さっとゆがいて酢味噌和え、細切りにしてきんぴらにして食べます。
また、葉や先端を天ぷらにするのもおすすめです。

野菜ジュース(青汁)として用いると、特有の香りと苦味が胃腸を活発にします。

 

 

いかがだったでしょうか。
旬の山菜を取り入れて、暖かな春の訪れを楽しんでください。

 

 

 

■旬の食材で薬食ライフ 過去の記事

第1回「南瓜(カボチャ)編」
第2回「栗(クリ)」編
第3回「山芋(ヤマノイモ)」編
第4回「大根(ダイコン)」編
第5回「葱(ネギ)」編
第6回「白菜(ハクサイ)」編
第7回「苺(イチゴ)」編