食卓にも美容にも「サンショウ」

HEALTH

2025.05.22

夏バテ予防にいただく鰻にかけていただいたり、痺れる味わいが魅力のラーメン屋さんがメインに用いる香辛料であったり、香水のアロマにも用いられる「サンショウ」

食卓にも、美容にも・・・両生類のサンショウウオの名前の由来にもなっている「サンショウ」について池上先生に伺いました✨

 

サンショウ(山椒)

 

北海道から九州、朝鮮半島の南部に分布し、低地から山地に自生するミカン科の雌雄異株の落葉低木で、日本原産の植物です。

縄文時代の遺跡から出土した土器からサンショウの果実が発見されています。

中国では同属植物の花椒(かしょう:カホクザンショウ)が自生しますが、それぞれに古くから栽培されてきました。葉柄の基部に鋭い棘が2本ずつ対生してつきますが、突然変異で棘の無い「実山椒(雌木)」として兵庫県養父市八鹿町朝倉地区原産のアサクラザンショウ(朝倉山椒)が特に有名です。

和名の「椒」は、ハジカミとも読み、古名の「ハジカミ」のハジは果実がはぜることから、カミはニラの古名カミラの略で、ニラの辛い味に似ていることに由来するとされます。

山椒とは山の辛い果実の意味であることが現存最古の平安時代の『本草和名(ほんぞうわみょう)』に記載されています。地方名ではキノメ、ヤマザンショウ、イタハジカミなどとも呼ばれています。

 

「サンショウ」

📷池上先生撮影📷

 

春に葉のわきに黄緑色の花を咲かせ、雌株のみ実をつけます。葉と雄花、球果に独特な香りを有し、新芽や果実が古くから食用や香辛料として親しまれてきたことが窺い知れます。

果皮、種子、葉にはシトロネラール、リモネンやゲラニオールなどの精油、辛味成分としてα-サンショオールやサンショウアミド、痙攣毒のキサントキシンなどを含みます。

キサントキシンは魚類に強い痙攣を起こしますが、他の動物に対する毒性はさほどありません。辛味成分には殺虫作用や局所刺激作用のほか、健胃、整腸、利尿作用が認められています。

漢方では、温裏(胃腸を温める)、止痛、駆虫の効能があるので、冷えによる腹痛や下痢、回虫症などに用いられます。術後の腹痛などに処方される「大建中湯(だいけんちゅうとう)」という漢方薬は、山椒に人参、乾姜、膠飴(こうい)が配合されたものです。一般薬にも芳香辛味性健胃薬として利用されます。

 

「サンショウ若芽」

📷池上先生撮影📷

 

民間では、粉に挽いた乾燥果皮2gほど(小さじ約半量)を頓服、あるいは煎じて服用すると、健胃、消化不良に効果があります。

湿疹やひび、あかぎれに煎じ液を患部に塗布してマッサージします。乾燥種子15gを1日量として600mLの水で約半量に煎じて3回に分けて服用すると利尿効果があります。

初秋から秋(9~10月)、果皮がやや黄色く色づき始めたら果実を採取し、天日で乾燥して果皮と種子に分けます。果皮は生薬の「山椒」として用いますが、また日本固有の香辛料です。

香り成分のシトロネラールは、脳を刺激して内臓の働きを活発にするとされ、料理を食べることでも期待できます。

食品の山椒は、枝に棘がなく、個々の果実が大きく、強い芳香を有するアサクラザンショウから栽培品種として派生した果穂がふどうの房のように大きくなるブドウサンショウ(ぶどう山椒)から主に採集されています。

一方、和食料理に添えられる若葉は木の芽(きのめ)として春の代表的な味覚ですが、若果のちりめん山椒ともども、食欲を増し、食中毒の予防にもなります。

 

「サンショウ」

📷池上先生撮影📷

 

さまざまな用途で活用できる「サンショウ」

これから夏に向けて食欲がなくなった時に一振りして、お食事を楽しむスパイスに活用してみたいと思いました😊✨

池上先生、ありがとうございました!

さて、そんな薬学博士でいらっしゃる池上先生がご出演のラジオ「食卓に活かす漢方の知恵」

皆さまお聴きになりましたか?※2025年2月放送

下記に最終回の聴き逃し配信の情報を記載いたしましたので、是非お聴きください🌹

リアルタイムでお聴きになられた方も、復習にぜひご活用くださいね!

 

【🎤池上先生ご出演ラジオ聴き逃し配信情報🎤】

放送局:NHKラジオ第2放送「日曜カルチャー」

聴き逃し配信:らじるらじる(検索ワード:池上文雄)

タイトル:「食卓にいかす漢方の知恵」

2025/2/23(日)放送分→2025/4/20(日)21:00まで

 

普段の生活を見直して、心と身体を整えることについて、すぐにでも実践できる情報を分かりやすく教えてくださっています✨

是非、皆さまお聴きくださいませ😊💗

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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