健康ブームの立役者「ゴボウ」

HEALTH

2025.01.21

昨今の美容と健康ブームで注目されているのが「食物繊維」✨

細く長い見た目からは想像もできないほど、栄養が詰まった「ゴボウ」について、池上先生に伺いました🖊

 

【ゴボウ(牛蒡)

 

ユーラシア大陸原産で、薬草として中国から伝来したキク科の二年草です。我が国では北海道以外には自生していませんが、縄文時代の遺跡に確認されており、縄文時代か遅くとも平安時代には伝わったといわれます。

平安時代の『本草和名(ほんぞうわみょう)』には漢名を悪実(あじつ)、一名を牛蒡(ごぼう)と記されています。日本人がゴボウと呼んで食べるようになったのは、江戸時代から明治にかけてであり、今日でも「滝野川ゴボウ」とその改良種が栽培されていて根や葉を食用としています。

大別すると長根種と短根種がありますが、栽培の主流となっているのは長根種です。草丈1mほどになり、主根は紡錘形の多肉質です。花期は6〜7月で、紫色のアザミに似た総苞にトゲのある花を咲かせます。

 

「ゴボウの花」

📷池上先生撮影📷

 

根には香りのもとであるアルクチン酸などのほか、アミノ酸類、タンニン、アデニンを含み、また水溶性食物繊維のイヌリン、ポリフェノールであるクロロゲン酸やイソクロロゲン酸などが豊富に含まれています。

クロロゲン酸は、ゴボウを水にさらしたときに出てくる茶褐色の成分であり、抗酸化作用があります。ゴボウを長く水にさらすとクロロゲン酸が失われてしまうので、「皮はむかない」「水にさらさず、すぐ調理する」「大きめにゴロンと切る」ことがゴボウ調理の三大新常識となっています。

漢方では、根を牛旁根(ごぼうこん)あるいは悪実根(あくじつこん)と称し、風熱を去る、腫毒を消す効能があるので、顔面のむくみ、めまい、咽喉の熱腫、咳嗽、歯茎の腫痛、糖尿病などに煎用されます。種子は牛旁子(ごぼうし)と称し、扁桃炎やはれもの、むくみ、湿疹などに用いられます。

民間療法では、扁桃炎や口内炎、歯茎の腫れには、根または葉を1日量5~10gとして200mLの水で約半量になるまで煎じてうがいします。欧米では根をバードックと呼び、感冒、関節炎、リウマチ、むくみなどに利用しています。

 

「ゴボウ」

📷池上先生撮影📷

 

根を野菜として利用するのは、日本と朝鮮半島だけの特徴です。中国では今も昔もゴボウは薬であって食用にすることは少ないようですが、日本人にとっては江戸時代から好みの野菜だったようです。

古くから日本人に親しまれてきたので、各地でゴンボーとかゴンボなどと呼ばれ、「えびす講」のお祭りにはダイコンとニンジンの千切りと一緒にゴボウも床の間に飾られたものです。

旬は初冬から春、2年以上の根を洗浄して用います。きんぴらや天ぷらのかき揚げなどに使われるほか煮物に用い、近年では細切りにした根を湯がいてサラダにもされます。

柳川鍋には欠かせない食材です。繊維質が多く、食用とすれば常習便秘症にもよく、塩分を摂りすぎる人にむくアルカリ性食品です。近年では健康ブームでヨーロッパでもゴボウが食用にされることが増えてきています。ゴボウは通常の食品として摂取する場合はおそらく安全であるといわれています。

観光地などで山ゴボウの味噌漬けが売られていて、山で採れたゴボウと思う人は多いものですが、実は同じキク科のモリアザミを栽培し、その根を山ゴボウという製品にしたものです。

なお、 リレー走や駅伝競走などで後方からほかの選手を「ごぼう抜き」するのをみると興奮しますね。ゴボウを土中から引き抜く様子を表しています。

 

「きんぴらごぼう」

📷池上先生撮影📷

 

栄養価が高く、薬用としても用いられている「ゴボウ」✨

おかずにも、おつまみにもなることから、日本ではお馴染みの食材ですが「野菜」として食卓に並ぶのが日本と朝鮮半島だけというのが驚きです😊🍚

健康意識が高まったヨーロッパでは食用で用いられるようになったそうですが、ケールやキヌアなどと同じくスーパーフードのような位置づけなのでしょうか?🍃

 

池上先生、また次回のコラムも楽しみにしております✨

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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