蒸し暑い時期に嬉しい「キュウリ」

HEALTH

2024.06.06

さわやかな味わいとみずみずしさで、蒸し暑くなると恋しくなる野菜の代表といえる「キュウリ」

一年中食べられる野菜ですが、加熱していただくことがないため、やはりこれからの時期に消費が多くなります。

そんなキュウリについて、池上先生に伺います😊🥒

 

【キュウリ】

キュウリは代表的な夏の野菜で、江戸時代、お盆にキュウリの初物を川に流して河童に供える風習があったことからキュウリの海苔巻きを河童巻きと呼んでいます。また90%以上が水分で「世界一栄養素が無い野菜」とギネスブックに登録され、栄養の摂取というより食感を楽しむ野菜といえます。

インド北部、ヒマラヤ山系地帯が原産の温暖な気候を好むつる性のウリ科の一年草で、世界中の温暖地で栽培されています。我が国には平安時代以前に渡来したとされ、現在では野菜として全国で栽培されています。非常に種類が多く、世界中には500種以上の品種があります。今や我が国は世界一の消費国となっています。

果実は、フラボノイド配糖体のルチン、イソクエルシトリン、糖類のラムノース、ガラクトース、マンノースなど、またカフェー酸、クロロゲン酸、ビタミンB2・Cなどを含み、カリウムはナトリウムに比べて100倍多く含まれています。

 

キュウリの栽培風景

📷池上先生撮影📷

 

中国では西域地方(胡)からシルクロードを渡って来たので「胡瓜」または「黄瓜」と書くので、音読みしたのが「キウリ」で、一般に「キュウリ」と呼ばれています。

旬は夏、6~8月に新鮮な果実を採取して生食します。生のまま味噌をつけて食べたり、サラダ、寿司(かっぱ巻き)、酢の物、和え物、塩揉みなどで食べるほか、ピクルス、ぬか漬け、醤油漬けなどの漬物の材料として使われます。普段食べている緑色のキュウリは未熟の状態です。熟すと黄褐色になります。

 

キュウリの花と未果

📷池上先生撮影📷

 

【漢方としての役割】

薬用には果実を薄く輪切りにして天日で乾燥したものを用います。また、根や葉は夏と秋に採取し、洗浄して、天日で乾燥するか新鮮なまま用います。茎は夏に採取し、陰干しするか新鮮なものを用います。

漢方では、成熟果実を胡瓜(こか)と称し、熱を除く、水を利す、解毒する効能があるため、煩渇、咽喉腫痛、目の充血と痛み、やけど、小児の熱性下痢などに用いられます。

民間では、利尿、消炎、催吐などに利用され、特に、水分とカリウムが多く含まれることから、利尿効果は大きく、高血圧の予防に良いので、野菜としてそのまま生食します。または、薄く輪切りにして天日乾燥したものを、1日量10gとして200mlの水で半量に煎じて滓を除き、食後3回に分けて服用すると、心臓病、腎臓病、胃腸病、急性の腎炎や膀胱炎、二日酔いに効果があります。

 

 

 

軽いやけどには、患部を水で冷やした後、冷やした果実を輪切りにして患部に貼ります。また胸焼け、暑気あたりには冷やした果実の輪切りや葉を揉み潰して足の裏に貼るとよいし、胡瓜のすりおろし汁を内服するのもよいです。

日焼け予防には胡瓜の搾り汁を塗るとよく、また、日焼けによる皮膚炎にキュウリパックをすると治癒が早まるといわれます。独特の青臭さの成分(ピラジン)には血栓予防、脳梗塞、心筋梗塞などに効果が期待されています。

茎を切って得られる浸出液はキュウリ水と呼ばれ、むくみや口渇にこれを飲用します。

寒涼の食品ですので、過食すれば脾胃を損ねることになりますので、冷え症の人や胃腸の弱い人は食べ過ぎてはいけません。また、ビタミンCを酸化する酵素のアスコルビナーゼが含まれているため、ビタミンCを含む食材との調理の際には、酢やレモン汁を加えたり、加熱するとよいでしょう。

 

これから暑くなるとエアコンに頼りがちですが、たまにはキュウリなど夏野菜を食べて体の中から涼をとってみるのも良いですね🥒
次回の薬食ライフもどうぞお楽しみに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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