ランニングトレーナー三浦直樹が教えます!初心者でも楽しく長くラクに走るコツ
HEALTH
2022.04.29
初心者でも楽しく長くラクに走るコツ
せっかく始めたランニング。
どうせなら、より楽しく、より長い時間を、しかもラクに走りたいものですよね。
より楽しく、より長い時間を、しかもラクに走ると考えた時に一番ネックになってくるのは、走っていて直ぐに「息が上がってしまう」「苦しくなってしまう」などではないでしょうか?
特にランニングを始めたばかりの初心者の方はまだ心肺機能が強くないので、走ると直ぐに「ぜぇぜぇ」と息が切れてしまう・・・なんて方も多いはず。
この呼吸の乱れや苦しさが、ランニングに対するハードルを上げてしまったり、なかなか走ることを楽しむまでに至らない理由の一つだったりするかと思います。
逆に、走っても息が苦しくならなければ、走ることの楽しさも倍増しますし、長い距離を今よりもラクに走れるようになりますよね?
そこで、今回は、走っても息が切れない呼吸法や呼吸が苦しくならない目線の位置など、ちょっとテクニカルな部分での『楽しく長くラクに走るコツ』をお伝えしたいと思います。
■走っても苦しくならない呼吸の仕方は?
早速ですが、あなたは普段どんな呼吸をしていますか?
まず、呼吸には「胸式呼吸」と「腹式呼吸」の2種類が存在します。
それぞれの違いは、簡単に説明すると横隔膜の動き方が違うのですが、腹式呼吸の方が肺の奥まで酸素を取り込むことができます。
ランニングなど持久系の運動をする際は、身体により多くの酸素が必要になりますが、胸式呼吸だと筋肉に十分な酸素が行き渡らず疲れやすい状態を作ってしまいます。
走っている時は腹式呼吸を行うように心がけてみましょう。
あと・・・
走っている最中に息苦しさを感じる原因として、”呼吸が浅い“というのも考えられます。
こういう方は、ランニングしている最中だけではなく、普段の生活から呼吸が浅くなってしまっているかもしれません。
呼吸が浅いと、なかなか疲れが抜けなかったり、睡眠が浅くなってしまったり、イライラしやすくなったり、せかせかしてしまったり・・・
走る時以外にも弊害が出てくるので、日常生活の中でまめに深呼吸をするなど、意図的に身体に多くの酸素を取り込む癖を身につけましょう。
■ランニング中は「鼻呼吸?」「口呼吸?」
ランニングする時は、『鼻で呼吸した方が良いのか?』『口で呼吸をした方が良いのか?』
これは僕がよく受ける質問の一つでもあります。
実は「鼻呼吸」というのは身体に様々なメリットを与えてくれます。
・喉の渇きや口の中の乾燥を防ぐ
・口内の唾液を保持できるので殺菌作用がある
・疲労物質が減少してデトックス効果が高まる
・基礎代謝が上がり、痩せやすい体質になる
…etc
これだけ聞くと、「じゃあ、走る時も鼻呼吸の方が良いのかな?」と思ってしまいますが、実はそうとも言いきれないんです。
鼻呼吸というのは副交感神経を優位にさせる働きがあり、リラックスしたい時やストレスの緩和には最適な呼吸法になるのですが、ランニング中は交感神経を優位に働かせる必要性があります。
それと、鼻と口ではやはり口の方が多くの酸素を体内に取り込むことができます。
なので、ランニング中には口で呼吸をすることをオススメします。
中には「鼻呼吸の方が酸素を多く取り込める!」という専門家の方もいらっしゃいますが、マラソン選手をはじめ様々なスポーツのアスリートを観察してみると、口を閉じた状態で競技をしている人ってあまり見かけないですよね?(笑)
つまり、それが答えだと思います(笑)
■息を切らさないためには目線も大事!
呼吸を乱さないためには、実は目線も大切だったりします。
走っている時の目線は走りの質にも影響しますが、呼吸の質にも関係してきます。
多くの人が、走っていて疲れを感じてくると目線を下に向けがちです。
人間の身体というのは、目線を下に向けると自然と頭が下がります。
頭が下がると首や肩の筋肉に力みが生じます。
そうなると、”フォームが崩れる“というのもありますが、喉頭(気道)が狭まってしまい、呼吸が浅くなってしまいます。
また、喉頭(気道)が狭くなると腹式呼吸ではなく胸式呼吸に切り替わるので、ランニング時の呼吸としては適さないですし、呼吸が乱れやすくなる原因にもなってしまいます。
適切なランニングフォームを保持するためだけじゃなく、呼吸を乱さないためにも、走っている最中は、目線は下げずに自分が進む方向(=前方)を見るように心がけましょう。
■自分の適正心拍数を把握しよう!」
ここまで呼吸の仕方について解説してきましたが、呼吸法以外にも『心拍数』を上手にコントロールすることで、息切れや呼吸の乱れを防ぐことができます。
これからランニングを始めようという人や、始めたばかりの人にとって一番大事なのが、「自分のペースを」を掴むことです。
ここでいう自分のペースというのは、「自分が無理なく走り続けられるペース」のことです。
自分のペースで走れないと、心臓がバクバクしてしまい、一気に苦しくなってきてしまいます。
一般的に「楽に感じるペース」というのは、自分の最大心拍数の50%〜60%程度と言われています。(自分の最大心拍数は「220-年齢」というシンプルな数式で算出できます)
これらの数字を基準に走ってみると、ある程度の時間を走り続けても息が苦しくなることを防ぐことができます。
ランニング中の心拍数は、GPSウォッチやスマートウォッチなどで測ることができるので、よかったら試してみてくださいね!
ただ、上述の計算通りに実際に走ってみると、
「え!こんなに遅くて大丈夫なの!?」
「歩くペースと変わらないじゃん!」
なんて方もいらっしゃるかもしれません。
でも、大丈夫です。
ランニングは速く走らないといけないなんて決まりはないですし、楽に感じるペースで走ることで、基礎体力や心肺機能は徐々に向上していきます。
特にランニングを始めたばかりの方は、遅くても無理せず自分のペースで走ることを心がけましょう!
ランニングに対する敷居が高い方や、辛くてなかなか長く続かない・・・
なんて方は、自分に適した呼吸や心拍数、ペースが掴めていないケースが殆どだと思います。
息さえ苦しくならなければ、より楽しく、より長い時間を、しかもラクに走ることができるようになるので、ランニングがもっと楽しくなってくると思います。
ぜひ、今回お伝えしたことを試してみて下さいね!
■三浦トレーナーの過去の記事■
Vol. 8 ランニング初心者のための正しい走り方6つのポイント
Vol.7 アンチエイジングの新常識
Vol. 6 ランニングでダイエットを成功させる秘訣
Vol.5 誰でも簡単にランニングを習慣化させる方法
Vol. 4 これからランニングを始めたい人にオススメのストレッチ
Vol.3 初心者向けシューズの選び方
Vol.2 「おしゃれに走る秘訣」を教えます
Vol.1 新しいワタシに出会える新習慣
■ PROFILE ■
三浦直樹 Naoki Miura
株式会社PEOPLE 代表取締役 | スポーツトレーナー
パーソナルランニングトレーニングサポート ROUGH代表
日本ランニングトレーナー協会 JRTA ACADEMY 代表
33歳の時に母親をパーキンソン病で亡くしたことをきっかけに代替医療の世界へ飛び込む。8種類もの専門資格を取得し、整体師・パーソナルトレーナーとして2013年に独立。2014年にReebokのアンバサダートレーナーに就任し2020年まで活動。主にランニングイベントの講師や各種メディア出演等にて活躍。2017年からはTBSのホノルルマラソン番組専属帯同トレーナーとして多くの著名人やアスリートをサポート。速く走ることや長い距離を走ることに囚われない「痛みや怪我なく疲れず楽に走る」ためのランニング指導が好評。ランニング専門のパーソナルトレーナーとして活動する傍らランニングトレーナーを養成するJRTA ACADEMYを主宰するなど活動は多岐に渡る。自身はランニングだけでなく、フットサル、ボクシング、ロードバイク、ボルダリング、スノーボードなど、アクティブな趣味を持ち、高校時代はサッカー部でインターハイ優勝の経験も持つ。
Instagram: @melosman_
YouTube: RUNNING GYM