実は今が旬!万能野菜「ジャガイモ」

HEALTH

2023.07.23

薬学博士 池上文雄先生に教わる、旬の食材の知られざるパワー。
身近な食べものの歴史や栄養、効果・効能を知って日々のインナーケアに役立てましょう!

 

第23回は「ジャガイモ」です。

 

 

 

 

ジャガイモは、麦や米、トウモロコシに並ぶ世界四大作物としてその地位を確立し、文明を生み世界を変えた植物です。

ジャガイモが飢餓から救った人口は計り知れないといわれています。子どもたちのおやつとして人気のフライドポテトなど、今や世界中で食べられている食材です。

 

【ジャガイモの歴史】

 

夏が旬のジャガイモは、原産は南米アンデス山脈の高地といわれるナス科の多年草で、15~16世紀にスペイン人によってヨーロッパにもたらされました。

 

 

日本には1598年にオランダ船によりジャカルタを経由して伝来したので、ジャガタライモと呼ばれたのが転じて「ジャガイモ」になりました。

またオランダ語からきた「カンプラ」という呼称もあります。近年では、スペイン語に由来する英語の「ポテト」と呼ばれます。

馬鈴薯(ばれいしょ)という呼び名は、芋の形が馬につける鈴に似ていることに由来するといわれています。

 

日本に本格的に導入されたのは明治維新後で、寒冷地や痩せた土壌でも栽培しやすく、北海道の開拓に利用されました。

現在では男爵イモ、キタアカリ、メークイン、とうや、インカのめざめなど約100種が品種登録されていて、北海道は最大の生産地です。

 

 

【栄養と効果効能】

 

地下茎(塊茎)はデンプンやビタミンCを豊富に含み、胃腸の炎症を抑える食品として利用します。

薬用には生の塊茎のおろし汁を漉して胃・十二指腸潰瘍に服用し、また小麦粉と酢を混ぜてよく練り布をあて患部に貼ります。

火傷、打ち身などの炎症を抑え、痛みを除き、アレルギー体質の改善に有効です。

 

 

地下茎を加熱調理して食べるほかに、デンプン原料としても利用されます。

加熱してもデンプンに保護されてビタミンCが壊れにくいうえ、茹でるなどの簡単な調理で食べることができます。
さらに形状・加熱の具合や水分量によって多種多様な食感になり、様々な調味料や油脂・乳製品などとの相性が良いので、各地域で様々な料理に用いられています。

 

【ジャガイモの美味しい食べ方】

 

肉ジャガや粉吹き芋、ポテトサラダなど、ジャガイモを主な食材とする料理だけでもたくさんあります。
単に茹でたジャガイモに、バターや塩をかけて食べるのもポピュラーな食べ方です。その他にも、カレー、シチュー、グラタン、おでんやみそ汁などの具にも広く用いられています。

欧米ではジャガイモを主体とした料理が多くあり、フライドポテト、マッシュポテト、コロッケなどは主食として食べる場合もあります。

 

 

比較的保存がきく食材ですが、暗くても温度の高いところに保存すると発芽しやすいため、涼しい場所での保管が望まれます。

なお、芽や緑化した塊茎には毒性成分のソラニンが多く含まれて有害なため、取り除いてから食べれるように注意してください。

 

 

いかがだったでしょうか?
主役にも脇役にもなれる「ジャガイモ」を、ぜひ食卓に取り入れてみてください。

 

 

 

■前回の記事はこちら
第22回「セロリ」編

 

■夏の野菜はこちら
第11回「ミョウガ(茗荷)」編
第12回「オクラ」編