予習からアートの楽しみをスタートさせよう♪
メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年@ 国立新美術館

CULTURE

2022.04.25

▶GWを筋トレ期間に!展覧会で【美意識】を鍛える!
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ルネサンスから19世紀の絵画まで、一挙に公開されるメトロポリタン美術館展

 

都内で開催されている本展ですが、このように展覧会で作品をじっくりと堪能できることは、美術館好きにとってはまたとない機会のはず。

 

ゴールデンウィークの期間に、計画を立てて行かれる方もいるかもしれませんね。
早速、美意識の筋トレをしましょう♪

 

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美意識を鍛える!を熱く語っている記事はこちら☞ 自分で感じたイメージを掴みとる アートの見方と楽しみ方

 

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以前の紹介作品はこちら☞ ラ・トゥール《女占い師》

※この作品は、今回の展覧会における【目玉作品】です。

 

 

▶チケットが高い(泣)【予習】で観る力を鍛えて楽しむ!
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展覧会のチケットの値段が年々上がっており、大人料金は2,100円と決して安くはない価格です。

 

本国でも入館料は25ドル(日本円:約3,160円)となかなか高額!観光でも気軽に行ける価格ではありません。

 

 

本国では、日々の運営費すらも赤字だとか。。(2018年時点)
本来、資産である絵画を持っていたとて、もろもろ費用がかかってしまう美術館事情はなかなかシビアなものです。

 

だからこそ、じっくり楽しむには【予習】がおすすめです。

 

 

▶予習こそが、鑑賞を【快適】に過ごす大きなポイントに

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各展覧会では、学芸員さんの解説が作品ごとに記載されていることも最近ではよく見受けられます。

 

 

専門的な側面だけではなく誰にでも分かるような解説は、とっても丁寧で分かりやすい!

 

その有難さの反面、作品解説を読み進めていくと、かなりの眼精疲労に陥ります。

 

その薄暗い空間の中に解説と一緒に作品も展示されているので、結構疲れてしまうのです。

 

ただでさえ立ち見ですからね、疲労はなるべく回避したいところではないでしょうか。

外に出た後、大体どっと疲れが押し寄せるのです。

 

なので・・・!
予習してから作品を観る時間に集中する方が、身体的にも楽だし!チケット代もお得!という考えに至ったのです。

 

決して事前学習は、面倒なことではないのですよ♪

 

 

▶作品の【美しさ】だけが楽しみではない!
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中世からルネサンス期(15世紀前後)の「キリスト教美術」は、特に美術史を学んだことのない人にとっては、とても理解に苦しむシリーズのひとつではないでしょうか。

 

例えば、

・気持ち悪い。怖い。

・美しさがよく分からない。

・そもそも、キリスト教ってよく分からない。。

 

・・・このあたりでしょうかね?

 

なかなか宗教画が好き!という人は、多くはないでしょうね。
現代の美意識に近いわけでもなく、ピンと来ない人が大多数かと思います。

 

 

 

フラ・アンジェリコ
 《キリストの磔刑》 1420-23年頃
 テンペラ/金地、板 63.8×48.3 cm

 

例えば、この作品はどうでしょうか。
そもそも残酷なシーンにも感じますし、なんだか神妙な面持ちになる作品ですよね。

 

群衆が見上げる先には、十字架にかけられるキリストが描かれています。
キリストは、反逆者とされ捕らえられ、群衆の前で公開処刑される大変有名なシーンです。

 

 

■ 鑑賞POINT① ■

 

そもそも、なぜこのような作品が当時必要とされ描かれたのだろう?

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このような絵画は、文字が読めない人にも聖書の内容がわかるようにする、という布教の目的がありました。

 

宗教画がルネサンス期以前から多くある理由のひとつは、こうした背景があるためです。

 

暗闇の中でも神々しく光り輝くよう計算された金地の背景は、非現実的な世界観を作り上げるだけでなく、敬虔なキリスト教徒達の未来を明るく照らすよう導いてくれたのでしょう。

 

・・・という美しい側面だけが、作品の本質ではありません。

 

多くの高価な金箔が使用された作品は、それを依頼したパトロン(依頼主)の名誉を表すものでした。つまり、パトロンがいかに裕福であるかを証明することにつながったのです。

 

上の作品は、そこまで大きなサイズではないので、もっとたくさん高価な素材を使った作品を観ていきましょう。

 

 フラ・アンジェリコ
1432年ごろ  板にテンペラ
114 cm × 113 cm (45 in × 44 in)
所蔵 ウフィツィ美術館、フィレンツェ

 

現在フィレンツェのウフィツィ美術館が所蔵する『聖母戴冠』は、金箔だけでなく、ラピスラズリ、バーミリオンなど、15世紀において、最高の素材が大量に使用された非常に贅沢な祭壇画です。

 

描かれている聖人、天使、祝福された人物たちは、この神秘的な様をさらに強めているといえます。

 

 

■ 鑑賞POINT② ■

 

これを描いた画家ってどんな人?なぜ有名になったのだろう?

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この作品を描いたフラ・アンジェリコ自身も、ドミニコ会の敬虔な修道士でした。初期ルネサンスのイタリア・フィレンツェを代表する大変有名な画家です。

 

信仰心の高く、絵画の技術力も稀にみる才能を持つ称された彼は、多くのパトロンを抱えていました。

 

彼を有名にさせた大きなポイントは、彼の特徴的な技法です。

 

古典的なゴシック様式とルネサンス初期に見られる立体表現の二つを巧みに用いた空間演出が彼の才能をさらに輝かせました。

 

宗教的な意味合いを強める意味でも、その非現実的な要素に自分自身にも起こりうるかもしれないというある種の「現実感」を取り入れることは、大変重要なことだったのです。

 

 

▶まだまだ序章!だけど、これが予習の良さなのです♪
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調べ始めるとキリがない予習作業ではありますが、なるほど!とはなりますよね。

 

普段意識することのない教養の部分を少し掘り下げてみて、美意識を鍛えていきましょう♪