【Book review】愛という名の支配
CULTURE
2026.04.26
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親からされたこと子供にしてきたことに……心が疼き……ます
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『愛という名の支配』
人として生ききれていないから、愛は支配になる
自分のために闘いだしたときやっとひとりの人間になれる
著 者:田嶋陽子
出版社: 新潮文庫
定 価:649円(税込)
読書家の友人に「親子」のテーマでおススメしてもらったのが本書です。
1992年10月に太郎次郎社から刊行されたのち2005年12月に講談社+α文庫として文庫化、’19年11月に新潮文庫にラインナップされました。
新宿の紀伊国屋書店の在庫は’25年4月発行の3刷、長らく(34年間)読み継がれているのですね。
冒頭で著者は母親のしつけがトラウマになっていることを告白し、母がそのような行為に至った理由や社会的な背景も分析しながら、フェミニズム論を展開していきます。
少し読み進んだだけで、「なるほど」と気になる付せんが、いっぱいついてしまいました。Webの『読書メーター』に「もっと早くに読んでおけばよかった」との感想が載っていましたけれども……全くの同感です(汗)。

【本書のあらすじ】
文庫本カバーの紹介文によりますと―――
どうして私はこんなに生きづらいんだろう。
母から、男から、世間から受けてきた抑圧。苦しみから解放されたくて、闘いつづけているうちに、人生の半分が終わっていた。
自分がラクになるために、腹の底からしぼりだしたもの――それが〝私のフェミニズム″。自らの体験を語り、この社会を覆い尽くしている〝構造としての女性差別″を解き明かす。
すべての女性に勇気と希望を与える先駆的名著。――とあります。6章立ての構成で短いエッセイ風の解説が70篇詰まっていて、なかには『ペニスなしでどこまで人を愛せるか』という鋭いテーマでまとめた章もあります。
そのほか、ファッションに関する差別や家事労働の賃金が不払いにされている話で盛り上げ、最後は政治に触れて「心は社会主義、足は資本主義」のバランスが大切と訴えます。

【著者について】
田嶋陽子(たじま ようこ)氏は1941年,岡山県生まれ、静岡県育ち。
満州や母の故郷の新潟で戦時中を過ごす。’69年、津田塾大学大学院博士課程修了。2度イギリスに留学。
‘76年、法政大学教授。2001年、参議院議員。還暦を過ぎてからシャンソンと「書アート」を始め、自分の世界をつくるべく格闘中。
――と文庫本のカバーにあります(一部略)。
参議院議員選挙は社会民主党から比例区で当選(のち無所属)。また新潮文庫版の解説を作家の山内マリコ氏が担っていますが、著者をスーパーポップなフェミ・アイコンと称しています。
そして正しく再評価することは、ネガティブなものという呪いからフェミニズムそのものまでを解き放ち、日本の女性全員を祝福するものになる、と結んでいます。

【レビュー&エピソード】
著者の「あとがき」が前の発行元の文章のまま残されています。
2005年発行の講談社版では、〈「そうか、十年前はみんなまだいろいろ縛られていたんだ。それに比べたらいまは、女性も住みやすいいい社会になった!」と言えるようになっていたらいいなと思う。〉とあります。
そして、さらに十年が加わって、日本にも初の女性総理大臣が誕生することになりました。日本のフェミニズムは変わったのでしょうか、……それとも? 「男らしさ」「女らしさ」の価値基準の変化(あるとすれば)も含めて、著者に現時点での総括をしてもらいたいなぁと、衆議院議員選挙の終わった頃の読書だったので、強く思った次第です。
