【Book review】子どもを攻撃せずにはいられない親
CULTURE
2024.11.13
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家族関係と子育てを難しくしたのは自分なのかもと気づく読書の秋
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『子どもを攻撃せずにはいられない親』
家族やわが子に自分には見えない不幸があるかもしれない
読書で知識を深め想像力を磨けば見えるのかも……
著 者:片田 珠美
出版社: PHP新書
定 価: 946円(税込)
著者のご登場は2回目。前回は2年前にベストセラー(累計26万部)「他人を攻撃せずにはいられない人」をご紹介しています。
本書は、いわゆる「毒親」についての考察本ですが、幼い頃の親子関係がトラウマとなり現在も苦しんでいる方の相談例もたっぷり。
著者自身も母親とは現在も葛藤が続いており、実体験が赤裸々に告白されています。
【本書のあらすじ】
版元のH.P.では新書にかけられたオビ&カバーが見られます。
表(オモテ)には――子どもなら「思い通りに支配できる」、「大人の自尊心のための道具なのか?」と刺激的な見出しが並び、精神科医がその闇に迫る――とあります。
カバーの折り返しの【内容紹介】は――自分の思い通りに支配しようとする、子どもの気持ちよりも世間体や見栄を優先しようとする、子どもを罵倒する、必要なものを与えない、子どもの領域を平気で侵害しようとする、兄弟姉妹で格差をつける、しつけと称して暴力をふるう……。
なぜ我が子にそんな仕打ちができるのか。そこには我が子に投資しているという意識や「攻撃者との同一視」という心理メカニズムなどの様々な原因が窺える。
攻撃的な親から身を守るために、そしてあなた自身がこんな親にならないために。
精神科医が自身の経験も語りながら解説――と紹介。
さらにオビの裏側では本文の一部を抜き出し――「あなたが親に対して怒りや憎しみを抱いても、そのことで罪悪感を覚える必要はない。なぜならば、それは強い愛の裏返しだからだ。第一、あなた以外にも、親への怒りや憎しみを抱いている人は少なくない。だから、そういう感情があるのは、人間としてむしろ当たり前なのだと考えるべきだ。そう考えれば、自分を責めずにすむので、気が楽になる」――と説明。
悩める読者に救いの手を差し伸べています。
【著者について】
片田珠美(かただ たまみ)氏は広島県生まれ。
精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。
人間・環境学博士(京都大学)。パリ第八大学でラカン派の精神分析を学び、DEA(専門研究課程修了証書)取得。
精神科医として臨床に携わり、その経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。『他人を攻撃せずにはいられない人』『プライドが高くて迷惑な人』『すぐ感情的になる人』(以上、PHP新書)、『怖い凡人』(ワニブックスPLUS新書)など著書多数。――前回の作品紹介では著者を紹介できなかったのでこちらで。
【レビュー&エピソード】
Kindle読み放題で「育児」で検索してヒットしたなかの一冊。読み終えて、児童委員や警察が関与する事件とまでいかなくても見えない虐待はたくさんの家庭で起こっているのではないか、そんなふうに感じました。
かくいうワタクシ書評子もその可能性のあるひとりかもしれない。本書の一節「自己中心的な親は、自分が子どもに浴びせる暴言や加える仕打ちが、どれだけ子どもの心を傷つけ、怒りや反感をかき立てるかということに想像力を働かせることができない。
いや、より正確には、想像してみようともしない」という箇所には多くのハイライトが立っていました。