発酵食品で腸を健康に!
美肌にも繋がるメカニズム

2021.05.30

発酵食品は乳酸菌や酵母などによって発酵させた食品です。
日本には、味噌や納豆、醤油、甘酒、ぬか漬など様々な発酵食品が昔から身近にありますよね。
世界的にも乳製品のチーズやヨーグルト、お隣の韓国のキムチ、中国のザーサイ・メンマ、ヨーロッパのピクルスなど、たくさんの食品を挙げることができます。

 

 

こうして私たちの食生活に馴染んでいる発酵食品は「腸に良い」「お肌の調子が良くなる」など、メディアや口コミを通してなんとなく情報を得ている読者の方も多いと思いますが、では具体的にどんなメカニズムで私たちの身体に良い影響を与えてくれるのでしょう?

まずは、発酵させることで私たちが得られるメリットは主に以下の4つです。

発酵は、酵母もしくはカビ類の微生物が出す酵素により、食品がアルコール類、炭酸ガスなどを発生させて、人間に有益な有機物を生成する過程全般のことで、食品自体の保存性が良くなるという変化もあります。
これは、食品を発酵させることで人間に有益な微生物がある一定以上に繁殖し、人間に害を及ぼす腐敗菌を抑えるためです。
冷蔵庫や冷凍庫などがなかった時代には、食材を乾燥させたり塩蔵させたりして保存してきました。
1876年にフランスの生化学者ルイ・パスツールが、発酵が微生物の働きであることを発見しましたが、日本では奈良時代の天平年間(729~749年)の木簡に残されている瓜の塩漬けが文献上最古の記録と言われています。
周りを海で囲まれた日本では、魚を塩蔵する知恵は縄文時代からあったという説もあり、塩を養分として活動する酵母菌の働きで、有史以前にも原始的な発酵を行っていた可能性も否定できません。

 

 

食品の発酵過程では、酵素の働きにより様々な栄養成分が生み出され、栄養価の高い食品に生まれ変わります。
薬がなかった時代、発酵食品は体力をつけるのに重宝されていたと言われています。先人は発酵した食べ物が体に良い事を体験的に学び、後世に受け継いでくれたのでしょう。
例えば、大豆を発酵させると納豆ができますが、発酵により納豆独自の成分である「ナットウキナーゼ」や、ネバネバの成分である「ポリグルタミン酸」などの栄養成分が産生されます。
また、米ぬかを発酵させたぬか床も、最初に入れるくず野菜に含まれる乳酸菌が繁殖して発酵が進み、ポリフェノール類のフェルラ酸やカルシウム、鉄、各種ビタミンなどの栄養分が発生します。
これらの成分は塩の浸透圧で野菜に染み込み、栄養豊富なぬか漬けができ上がります。
これら以外の発酵食品も、発酵と言う過程を経ることによって栄養価が向上し、私たちの健康に寄与してくれています。

 

 

発酵食品は、微生物の力によって食材のデンプンや糖、タンパク質を分解発酵させ、独自の旨味成分をつくりあげます。
また、微生物そのものの旨味もあるので、これらがミックスされて素材の味にプラスされ、独特の美味しさが感じられます。
風味、香りも高くなり、グルタミン酸やタウリン等のアミノ酸が生じることで、旨味が増すだけでなく、消化吸収がよくなるというメリットも。

 

発酵食品には、様々な健康促進の効果があることが判明しています。
例えば、発酵食品の代表的な細菌群である「乳酸菌」には、プロバイオティクス効果があり、腸内の善玉菌を元気にして腸内環境を良くすることができます。
また乳酸菌や麹菌などの菌体は、体内の免疫細胞の約70%が集まる小腸壁の近くを通る際に、免疫細胞を活性化させる”指令ボタン”を押していくことが最近の研究でわかっています。
この免疫細胞を活性化させるという働きは、生きた菌体も死んだ菌体も同じように持っているので、加熱などで菌が死活したとしても免疫機能の調整には効果があるという事です。

これら健康調整機能の向上という視点では、特に乳酸菌を「腸に届ける」ことを主眼に置いた「腸活」が着目されています。

「腸活」プロバイオティクスの概念は、すでに100年前から提唱されていました。
1906年ごろにイリヤメチニコクによって書かれた「長寿の研究」という書籍には、現代の体に良い菌を積極的に摂取することを勧めるプロバイオティクスの概念が書かれています。
メチニコフは休暇で立ち寄ったブルガリア旅行の見聞からヨーグルトが長寿に有用であるという説を唱え、ヨーロッパにヨーグルトが普及するきっかけをつくりました。自身もヨーグルトを大量に摂取し、大腸を乳酸菌で満たして老化を防ごうと努めたともいわれています。

現在では、腸内フローラバランスを改善することにより動物に有益な効果をもたらす生菌添加と定義され、乳酸菌などの有用な菌を体内に取り込んで、健康改善をしようという考え方と定義されています。

 

 

腸内環境を整えるとどんなことが起きるのでしょうか?

腸は、消化された栄養成分を体内に取り込むための重要な器官です。
消化の際に小腸の上皮細胞は外界の様々な刺激を受けながら、必要な栄養素を吸収します。
この時の刺激とは、外界からの細菌やウイルス、花粉症や食物アレルギーなどを誘発する物質も含まれます。
このような多くの刺激を受けながら栄養素を取り込むため、腸には様々な生体防御機能が備わっています。

その一つに免疫機能があり、小腸の中には、体の中の免疫を支える機能の60%が存在するのです。
この免疫機能の働きが低下したり免疫バランスが崩れたりすると、体内に細菌やウイルスが侵入し発症し、アレルギーなどの病気を発症してしまいます。

 

 

つまり、腸をきれいにすることで健康維持に役立ちます。
私たちの腸内には様々な細菌が生息していて、その数はなんと1,000種類で100兆個。

それらは体に有益な「善玉菌」、有害な「悪玉菌」、そしてどちらにも属さず優勢な方の菌に味方をする「日和見菌」の3つに分けられます。
腸をきれいにするという事は「善玉菌」を増やして優勢にし、全体の7割を占める「日和見菌」を味方にして消化吸収活動を活発にする事。それには善玉菌のエサとなる発酵食品を積極的に摂ることがとても大切なのです。

 

 

さらに近年では、脳と腸は繋がっているとされる「脳腸相関」理論の研究が進み、脳と腸は互いに密接に影響を及ぼしているという事がわかっています。腸では脳内で働くセロトニンの前駆物質が生産されています。
セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれる、リラックス、安心感、幸福感などをもたらす脳内神経伝達物質。
腸活によってセロトニンの産生量が増えると、心身がリラックスした状態で血行も良くなり、美肌や安眠に作用するホルモンの活性化にも良い影響があります。

便秘などのトラブルが無く、栄養成分をじゅうぶんに吸収できる健康な腸を育てるため、おうち時間でもしっかり発酵食品を食べて美味しく腸活。美と健康を手に入れましょう。

 

 

【お話を聞いた先生】

宮城大学 食産業学群

金内 誠 教授 Makoto Kanauchi

「腸内をきれいにする乳酸菌」「果実の香りを作る乳酸菌」「米粉のおいしいパンやイチゴのワインを作る研究」「現在は捨てられている未利用資源を使った発酵食品を造る技術」などの研究に従事。昔から食生活に取り入れられてきた発酵醸造の技術をさらに広い分野に応用し、おいしく食べて健康になるように、人の暮らしを楽しく豊かにすることを目指し活動中。

 

 

 

玄米を精米して白米にするときに取り除いてしまう外皮が「米ぬか」ですが、これには豊富な栄養が含まれています。
米ぬかに塩と水、昆布などを混ぜて野菜の切りくずを混ぜてぬか床を作り、そこにキュウリやナス、キャベツなどを漬け込んだものが「ぬか漬け」です。

野菜をぬか床に漬け込むことで、ビタミンBなどのミネラル分が増える、植物性乳酸菌が活性化する、旨味が増すなどたくさんのメリットがあるのです♪
本格的なぬか床はマメなお手入れが必要なので、初心者でも手軽にぬか漬けが作れる市販のアイテムをご紹介。
まずは毎日の食卓に発酵食品をのせるところから、腸活ライフをスタートしましょう。

 

【marukome  プラス麹 発酵ぬかどこ】

 

 

米麹を加えた、優しい甘味が特徴です。
熟成済みなので下漬け要らず。買ってきたその日からすぐに漬けられます。
切った野菜(200g)をパッケージのぬか床に入れて冷蔵庫にIN。
12時間~18時間で美味しいぬか漬けが出来上がります。
各野菜の漬け込み時間は記載してありますが、味や食感などお好みで多少調整しても大丈夫。
ぬか床が水っぽくなったら交換のサインで、4~5回を目安に繰り返し使え、補充用も販売されています。

1㎏ 800円(税込)
marukome オンラインショップ

 

 

【みたけ食品工業 発酵ぬかどこ】



 

こちらも袋にそのまま野菜を漬ける簡単タイプ。
化学調味料、食品添加物無添加で、昔ながらのぬか漬けの風味が味わえます。
かき混ぜは週1回でOKで、補充用2袋セットもあり。最初は塩気が強いので短めに漬けましょう。
ビール酵母を使って発酵させています。素朴なぬか漬けでほっこりしたい人におすすめ。

500g 700円(税込・送料込)
みたけオンラインショップ

 

【みらい畑 ぬか漬け専用ミニ野菜セット】

 

 

食べるのがもったいない!?可愛らしいぬか漬け専用ミニ野菜のセット。
ぬか漬けのために丹精込めて育てられた季節のミニ野菜が、宮崎県の自社畑から定期的に届きます。
腸活は、腸内の善玉菌を育てる作業。続けることが大切なので、定期便は賢い選択かも。お届け頻度は選べるので、自分のペースで腸活を続けることができます。
ミニ野菜を洗ってまるごとぬか床に寝かせるだけでOK。(ぬか床と容器は別売り)

 

 

全ての食べ物に対して、まるごと全部を食べる「一物全体食」という言葉がありますが、ミニ野菜なら旬の栄養をまるごと、しかも生で食べることで加熱に弱いビタミン類も余すところなく摂ることができますね。

ミニ野菜2kg/約30個 2,678円(税込)
ぬか床スターターセット  1,069円(税込)

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