樹の鞄~森羅万象の声を聴く究極の物創り~
CULTURE
2022.10.26
皆さまこんにちは!moca編集部ECOです♡
46億年の歴史を持つ地球に、人類が誕生したと言われているのは20万年前といわれています。
空、海、川、昆虫、動植物などさまざまな生命体が歴史を繋ぐ地球にとって、人類は新参者。
人類はその歴史の中で自然環境破壊を繰り返し、それ以上に自然の恩恵を受け、またその自然の脅威にさらされてきました。
我が物顔で地球に暮らす人類も、命の主導権は地球の自然にゆだねられていることをなんとなく知っていますよね。
今回の記事では、そんな人類では到底抗えない森羅万象の声を聴きながら、素晴らしい物づくりをされている作家さんの芸術について、ご紹介させてくださいませ♡
~ 樹の鞄 kinokaban ~
樹の鞄は、芸術家である亀井勇樹さんの手掛けるブランド。
「樹」という文字を名前に持つ亀井さんは、1963年生まれ。
1990年、奥様に木製の鞄を作って贈ったのが、このブランドのはじまりだそうです。
東京町田市ではじめた樹の鞄ブランドは、いつしか木々の空気が満ちた場所を求めて旅をし、たどり着いたのが山梨県北杜市。
八ヶ岳の山々と森に抱かれた大泉という場所でした。
「ここに住むことにしよう。ここで鞄を作ろう。」
そんな想いが湧き、家族が暮らす家、アトリエ、工房をひとつひとつ手作りしたそうです。
亀井さんの強い意志が感じられる空間がそこにはあります。
つくり手、亀井さんが樹の鞄をつくり始めてちょうど 30年目にあたる2020年。
世界はとても大変な状態になり、今までと違った あり方を求められる年となりました。
「いつかまた心置きなくお客さまをアトリエにお招きできる時が来るまでに、ここでできることはなんだろう?」
まず亀井さんはアトリエと工房を改装はじめ、庭にはシナノキたちが良質な木材になれるまでひと休みできる「樹のベッドルーム」ならぬ倉庫を建て・・・
「お客さまが遠慮なく 時間を過ごしてくださる場所も作ろう!」という思いで、アトリエ脇と森に面した木陰にカフェスペースも増設したそうです!
樹の鞄はすべて一点ものばかり。それは大切な人との出会いや季節の移ろいと同じ・・・
こんなふうにつくり手の亀井さんは考えています。
なんだかとてもナチュラルで、惹かれるものがありますよね♡
~樹の鞄 製品の特長~
「樹の鞄」は、シナノキという日本固有種の木材を用いて手彫りで製作する日本製の鞄です。
デザインから製作まで、すべての工程を制作者である亀井さんが行っています。
長い時を生きてきた木の命を慈しみ、その声に耳を傾けながら生まれる、唯一無二のデザイン。
使うことにこだわった形、強度と軽さ、耐久性も備えつつ、美しく、そして持つ人が「自分だけのもの」という喜びのある鞄になるよう心を込めて制作を行っています♡
亀井さんの素材へのこだわりはとても強く、樹齢150年前後北海道産シナノキを、アトリエ内で10年程じっくりと時間をかけて落ち着かせ、鞄に適した材になったものを使用しているのだとか・・・!
~樹の鞄 環境への配慮~
材料を大切に使うこと。
より良いものをつくることで持つ方が長く大切にしてくださること。
とてもシンプルですが、これが基本姿勢だと亀井さんは考えています。
樹の鞄は「一点として同じものをつくらない」
という創業からの基本理念のもと、長く生きてきた木の命が形を変えて受け継がれていくことを願い、いかに美しく引き出していくかを制作のベースとしています。
デザインありきの製品と違い、
木に合わせることによって無駄を最小限にできること・・・
それが美しいものであること、「自分だけのもの」と思えること・・・
木の命を感じるものであれば、飽きることなく時代を超えて大切に次世代まで受け継がれるのではと考え、制作に取り組んでおられます。
「作る」、というよりも「育てる」
それが、亀井さんの仕事、樹の鞄です。
【無駄を最大限なくす創作活動がここにある】
製作過程で出る削り屑は、その形や香り、温もりを楽しむ梱包材として活用。
木取り時に出る木端は、「樹の鞄のカケラ」として積極的に製品化し、木の命を大切に使い切ることに取り組んでいるそう。
森を守る活動団体に植樹のための寄付を行うなど、亀井さんは環境保全の取り組みも積極的に行っています。
~まさにアートそのもの 樹の鞄~
私はこの間、銀座三越に立ち寄った際に、あまりにも美しい作品に思わず立ち止まり
樹の鞄との出会いを果たしました。
ふと目についたのが、その佇まいが神々しささえ感じる作品たちに直接書かれた数字。
とても丁寧で物腰の柔らかいスタッフの方にお話を伺うと、シリアルナンバーだそうで
作品ひとつひとつに番号が付けられていて、購入してくださったお客さま情報と紐づけて
いつどんな問い合わせが来ても、お応えできるようにとの亀井さんの配慮だそうです。
実際に持たせていただくと、とても軽いのにしっかりとした作りが素人目にも分かり、一生大切にしたくなるプレミア感と、あたたかな木のぬくもり、亀井さんの情熱と愛が伝わるような作品でした。
ジェンダーレスなデザインもとても魅力的です♡
♡さいごに・・・♡
樹の鞄はとても高価なものですので、すぐに購入・・・とはいかなかったのですが、何かの節目に「つくり手への敬意」と「自然との共生」を感じながら、自分へのご褒美に手に入れたい作品だと強く感じました。
長く持つことによって、深みと味の出る鞄だと思いますので、いつか樹の鞄と自分の人生の年輪を重ねて眺めてみたら、とても素敵ですよね♡
それではまた次回の記事でお会いいたしましょう~♡