旅屋おかえり
CULTURE
2022.05.21
著者:原田マハ
出版社:集英社文庫
定価:748円(税込)
新宿サブナード街にある福家書店には、若いアーティストが好みそうな美術本や音楽本の棚に交じって映画化される(あるいはされた)原作本のコーナーがあります。
2014年に発行された本書も2022年の1月にNHKのBS連続ドラマとして放映され(その間に手にした本書は28回版を重ねていました)32歳の主人公・おかえりこと丘えりかを安藤サクラが演じます。
主人公の名前からしてオヤジギャグでわかるように肩の張らないヒューマンドラマで、ドジや笑いの場面もふんだん、でも最後にはホロリとさせられます。
あらすじとしては、旅のレポーターでもある主人公が、何らかの事情で旅に出られない依頼主のかわりに旅に出て、ドラマが生まれるというもの(それで書名に旅屋=旅が仕事のおかえりさん)。
ファンの間では、女・寅さんと呼ばれているのだとか。
映画「男はつらいよ」よろしく旅先で一目ぼれするお相手も……。
本書のテーマも寅さんと同じく「家族」と捕えました。
見送る人がいて「いってらっしゃい」が生まれ、迎える人がいて「おかえり」という言葉がある。
家族ならではの温かいやりとりです。