【Book review】日本人にとって干支とは何か

CULTURE

2025.01.16

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占いにも使われる干支の謎と秘密を探ってみよう

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『日本人にとって干支とは何か

時間には性質があるという考え方

自然の流れに抗わない東洋的思考が学べます

 

著    者: 武光 誠

出版社: KAWADE夢新書

定    価: 968円(税込)

 

干支はなんのためにあるの?と問われてもうまく言えません。

好む好まぬに拘わらず、生まれ年の干支は一生ついてまわります。占いや性格判断にも用いられます(ちなみに2025年の干支である蛇年生まれの方は「控えめだが聡明な人物になる」とされる、と本書にあります)。

日本ならびに世界中にあまたいる蛇年生まれの方々がすべてこの性質を持つということは考えづらく、全く合理的ではないのですが、自分の生まれ年に関することは、やはり気になります。

計画出産を考える親のほうでも、丙午(ひのえうま)の年には出生数が減るという現代(1966年)のデータもあります。

次の丙午は2026年とあと少し! 振り回されないよう干支に対しての理解を深めておくべきだと思い本書をご紹介します。

難解な内容ではなく堅苦しい文章でもないので、読みやすく途中でつかえることもありません。

 

 

【本書のあらすじ】

 

副題に〝東洋の科学「十干・十二支」の謎を解く″とある本書は、序章、終章を含めると全部で7章立ての構成。

私たちの暮らしに溶け込んでいる十二支のルーツから解説は始まり、図表を交えながら科学的に、そもそも干支とは何か、十二支の動物はどのように選ばれたのか、渡来した十二支は日本の動物信仰といかに交ざったか、神や仏と結びついて広がった経緯、占いとしての定着、干支から見えてくる日本文化の特質、へと結びます。

新書(発行元:河出書房新社)のカバー裏の紹介では――十干十二支(じっかんじゅうにし)=干支(かんし・日本の読みで、えと)を、一定期間の「時間の性質」や「方位の吉凶」を知る目安とした古代中国。

では、なぜ日本では「その年の十二支の縁起物を飾ると招福になる」「戌(いぬ)=犬を大事にすれば将軍の継嗣が生まれる」などの俗信・行為まで生まれたのか。干支にまつわる言説の〝根拠″を解き明かす! ――とあります。

 

 

【著者について】

 

武光 誠(たけみつ まこと)氏は1950年山口県生まれ。

東京大学文学部国史学科卒業。同大学院博士課程修了。文学博士。著書に『日本人なら知っておきたい神道』、『日本人なら知っておきたい陰陽道の知恵』、『古墳解読 古代史の謎に迫る』『知っておきたい日本の神様』(以上。河出書房新社)など、著書多数。

新書カバーの著者紹介より抜粋。

 

 

【レビュー&エピソード】

 

あらすじに記載しましたが時系列の解説なので、十二支の歴史がわかりやすく学べます。

とはいえ、教科書ではないので仔細に内容を暗記する必要はありませんから、図表等はあくまでも参考程度にし、本文の面白い箇所を探して斜め読みでもいいのかも(新書ならではのカジュアルな読書もありでは・汗)。

例えば干支(えと)の読みは兄弟(えと)から来ているとか、NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』のネタに使えそうな箇所が巻頭からゴロゴロとあります。

本書を片手に〝チコちゃん″の気分で誰かに「干支の動物は何で決まったの」とか「ボーっと生きてんじゃ

ねーよ!」の決めゼリフを言ってみたい(笑)。

その前に著者から、この決めゼリフが各頁でワタシの胸に響いていますけどね(苦笑)。