常設展示室―Permanent Collection―
CULTURE
2021.12.11
著者:原田マハ
出版社:新潮文庫
定価:本体550円+税
緊急事態宣言が解除されて移動しやすくなった11月に出されたアート小説の名手・原田マハさんの短編集。日本橋の高島屋と三越の帰りにタロー書房で購入しました。2018年初版の単行本の文庫化です。
美術館のキュレーター(展覧会の企画・管理者)の前職を持つ著者ならではの舞台設定。いつでも見られる常設の展示室での一枚の絵画が登場人物を動かします。
6つのお話の主人公は、いわゆる大人の女性たち。みな日常の仕事に熱中していますが、不意の病にとりつかれたり、親の介護が必要だったり、愛人だったり、バツイチから新たな恋を求めたりと、なんらかの不都合の悩みを抱えています。
いろいろな事情が絡み合うなかで実在するピカソ、フェルメール、ラファエロ、ゴッホ、マティス、東山魁夷の絵画が物語を豊かに彩ってくれます。
巻末の解説は上白石萌音さん。「読んでいると美術館に行きたくてうずうずしてくる」
「運命の1点に出会えるかもと夢見る」のだとか。
三越前で乗車して読みはじめ、新宿で第1話を読了。ちょっとした移動や気分転換の散歩のお供に! 読後には心の澱(おり)がすっと沈んで澄んだ気持ちに変わります。
moca編集部 かずりん
原田マハ 著『常設展示室―Permanent Collection―』(新潮文庫刊)