ポケットに名言を
CULTURE
2021.10.15
著者
寺山修司
KADOKAWA/角川文庫
定価:本体400円+税
※カバーの絵柄は(株)かまわぬのてぬぐい柄を使用しています。
言葉を友人に持ちたいと思う著者(いまさら説明すべくもない詩人・寺山修司)が、自らのポケットにしのばせたいと集めた名言集。
詩だけでなく、劇団の主宰、映画監督、脚本家と多岐に渡って活躍をした著者だけに、収集した名言は、文学のみならず映画、歌謡曲も含めたあらゆるジャンルから。それに加えいわゆる裏社会の隠語を集めた章もあるのが、寺山修司らしさを感じさせます。
冒頭にボクサーになりたいと思っていたが、それを断念するかわりに言葉で殴り倒そうと詩人となったという話があります。でも著者の心がそればかりでないことは、名言の中に
「喧嘩のいいところは仲直りができることね」
と、映画「ジャイアンツ」のエリザベス・ティラーのセリフを選んでいたり、著者自作の
「なみだは人間の作るいちばん小さな海です」
に感じることができます。
私的には
「死んだ女より
もっとかわいそうなのは
忘れられた女です」(マリー・ローランサン)
が心に沁みました。