愛なんて大っ嫌い
CULTURE
2021.09.28
著者
冨永 愛
ディスカヴァー・トゥエンティワン
定価：本体1400円＋税
1990年代、全国のコギャル世代なら誰しもアムロちゃん（安室奈美恵さん）をお手本に、ミニスカートにルーズソックスの出で立ちを真似たものです。そんななか、ニュースになったのは、アムロちゃんより5学年下の著者・冨永愛さんの制服姿でした（本書でも紹介）。都会には手足の長いものすごい女子がいるなぁ、と田舎の女子は皆、降参したのです。
とはいえ、本書を読むと、背の高さと長い手足が少女期には、いじめの理由であったことがわかります。また複雑な家庭環境や、母親との対立、……そして、グレていたことも。あぶない書名と表紙のすさんだ面持ちは、コンプレックスに悩む思春期の著者ならでは。それでも、「ぶっ殺す」という過激な言葉を心に秘めて、海外に通用するトップモデルになるまでの成功のプロセスが前半に描かれます。
後半には、結婚、出産、離婚と転機が訪れますが、母になり、子育てに時間をとられていくうちに、実の母を許せるようになり、家を出た父にも会う勇気も生まれます。前半にしょっ中、吐いた物騒な啖呵も消え、「ありがとう」という感謝の言葉に変わっていきます。
著者の近影は、とてもすてきな笑顔です。
