著者

下重　暁子

毎日新聞出版

定価：本体1300円＋税

本書は、ベストセラー作家である著者が「サンデー毎日」2019年の夏から翌年秋にかけて不定期に掲載となった寄稿及び対談を再編集したもの。その期間は、政府発表の「老後2000万円（貯蓄が必要）」問題からコロナ禍に始まる「新しい生活様式」「Go Toトラベル」の時期と重なります。折々の時事問題を題材に人生経験豊富な著者ならではの視点で、考えさせられるエッセイ集に仕上っています。

たった1年前のことでも、「結局あれは何だったの？」という疑念がよく残ります。そんなとき、「散りぎわ」をテーマに選んだ作家であられる人生の大先輩から本書を通じ教わることは、たいへん有意義に思います。未来に渡り、動ぜず生きる暮らしの知恵と備えを得られるのですから。

著者は、本質にかかわる部分は、決して人まかせにせず、自分で考えること、個々人が尊重されることが大切と訴えます。それは家族も夫婦関係であっても同じ。児童期は病弱だった著者が個性に目覚めた頃からどんどん元気になっていく過程が面白い。薬やサプリでは得られないストレスフリーの心の栄養が

必要なのです。読んで免疫力を高めましょう。