3分速く、3分ゆっくり。海外で話題の「Japanese Walking」の正体
HEALTH
2026.11.03

海外の健康記事に登場する「Japanese Walking」。日本人の日常的な散歩かと思ったら、そこには歩く速さを3分ごとに切り替えるルールがありました。もとになっているのは、信州大学の研究グループが取り組んできた「インターバル速歩」です。歩数を増やすことばかり気にしていた人には、いつもの散歩を見直すヒントになりそうです。
2025年6月、米国の「Fortune」がJapanese Walkingを紹介し、信州大学もその掲載を知らせました。代表的な研究論文が発表されたのは2007年。海外の新しい呼び名からたどり着くのは、約20年前から日本で研究されてきた運動法です。
特徴は、ゆっくり歩く区間と速く歩く区間を交互に設けること。同じ道を歩く場合でも、一定のペースで進むのとは体への負荷が変わります。海外記事では「1日1万歩よりよい」とする愛好者の声も紹介されましたが、あらゆる人に、あらゆる面で優れていると証明されたわけではありません。

基本は、ゆっくり3分と速く3分を1セットにして繰り返す方法。5セットなら全体で約30分、そのうち速く歩く時間が計15分になります。2007年の研究では、1日5セット以上、週4日以上を5か月続けることを目標にしました。
「1日15分」と聞いても、準備から終了まで15分という意味ではありません。一方、30分間ずっと速く歩き続ける必要もなく、ゆっくり歩く区間で呼吸を整えます。始めと終わりには、ウォーミングアップとクールダウンの時間も取りましょう。
続けて30分を確保しにくい場合、普及団体のJTRCは一日のなかで何回かに分ける方法も案内しています。記録するなら、散歩全体の時間と速歩の時間を分けると、実際にどれくらい速く歩いたかがわかります。

2007年の研究は、平均年齢63歳の男女246人を、運動の指示を受けない群、一定のペースで歩く群、インターバル速歩の群に無作為に分けて実施されました。一定ペースの群も、1日8,000歩以上を週4日以上歩くことが目標。比較相手は、運動をしない人だけではなかったのです。
条件を満たして解析された速歩群では、5か月後に膝を伸ばす力が平均13%増加しました。脚の筋力や持久力の改善は、一定ペースで歩いた群より大きかったと報告されています。歩く「量」に加え、「強さ」に注目する理由がここにあります。

では、どのくらい速く歩けばよいのでしょう。JTRCは、専用機器を使わない場合の体感の目安を「ややキツイ」と「キツイ」の中間くらいとしています。同じ時速でも負担は人によって違うため、隣を歩く人の速さに合わせる必要はありません。なお、体感による目安は、研究で測定・設定した運動強度と同じ精度ではありません。
速歩を3分続けるのが難しいときは、同団体のFAQに、速歩2分とゆっくり歩き3分の組み合わせも示されています。運動から遠ざかっていた人は、初日から研究と同じ回数を目指さず、体力に合わせて徐々に。

編集部からの提案は、見通しがよく、混み合わない平らな道を選ぶこと。手持ちのタイマーで時間を区切るなら、出発前に音や振動を設定し、画面の操作は立ち止まって行います。横断歩道や人の多い場所では、タイマーより安全を優先しましょう。
心臓病などで治療中の人や、運動で悪化する痛みがある人は、始める前に主治医に確認を。胸痛、めまい、関節や筋肉の強い痛みなどが出たら、すぐに中止してください。
これまでの散歩を否定したり、歩数に加えて新しいノルマを抱えたりする必要はありません。歩く距離を延ばす以外にも、ペースを変える選択肢がある。Japanese Walkingは、そんな視点で自分の歩き方を見直すきっかけになりそうです。