【Book review】ナイトフラワー

CULTURE

2026.02.20

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「見てから読むか、読んでから見るか」映像と文字の融合で楽しみは拡がります

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『ナイトフラワー

出演者に役をあてて書く台本をあて書きといいますが

こちらは映画が先なので〝あて読み″。ラストが切ない。

 

著    者:内田英治

出版社:幻冬舎文庫

定    価:726円(税込)

 

今回ご紹介するのは、NHK朝の連続テレビ小説「ばけばけ」で主人公の実母たえ役を好演した北川景子主演の映画『ナイトフラワー』のノベライズです。

実生活では、北川景子は5歳の女児と2歳の男児の母ですが(2026年1月)、この映画では10歳の長女と保育園に通う長男を持ち貧困にあえぐシングルマザーを演じています。

映画の公開は25年11月28日、文庫本はそれに先立ち、書き下ろしで同年9月12日に発行。

カバーには映画のカットを使い、公開日を告げるオビが巻かれています。書店が映画のPRの場になっているのですね。

著者はこの映画の監督であり脚本も手掛ける内田英治氏。

原作のないオリジナル脚本の実写映画は興行のハードルが高くなると聞きますが、封切りの1~2ケ月前にまず小説版を発売してヒットにつなげるという手法を実践されています。

過去にも『ミッドナイトスワン』をはじめ数々のヒット作が(著者紹介参照)。

最新作の本書も重版の喜びの報告が著者のインスタグラムに見てとれます。

――では、映像の補完と深化、そして文章とて想像する楽しみを味わってみましょうか。

主人公夏希役の北川景子がすぐさま目に浮かんできます。

 

 

 

 

【本書のあらすじ】

 

文庫本カバーの紹介文によりますと―――

借金苦で二人の子供と東京へ逃げてきた夏希(なつき)は、ある夜、ドラッグの密売現場に遭遇し、売人になる決意をする。

そこで出会ったのは、深い孤独を抱える女性格闘家・多摩恵(たまえ)。夢を叶えるためにタッグを組んだ二人は、さらに危険な世界へと足を踏み入れていく――。

心揺さぶる、奇跡の愛の物語。――とあります。

 

 

 

【著者について】

 

内田英治(うちだ えいじ)氏は1971年ブラジル・リオデジャネイロ生まれ。

映画監督・脚本家。「週刊プレイボーイ」の記者を経て、99年にドラマ「教習所物語」で脚本家デビュー。2019年、脚本・監督の一翼を担ったNetflixオリジナルドラマ「全裸監督」が世界配信され、話題に。21年に『ミッドナイトスワン』が日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞し、世界各国の映画祭で上映。近年では、『異動辞令は音楽隊!』(22年)、『サイレントラブ』(24年)、『マッチング』(24年)など――

と文庫本のカバーにあります(一部略)。

上記しているように、これまでの映画作品はすべて小説版もあり、かつてのキャンペーンのコピー『読んでから見るか、見てから読むか』(1977年映画『人間の証明』)を実践している監督といえましょう。

 

 

 

【レビュー&エピソード】

 

小説版が先に登場しますが、映画ありきではありますので、やはり脚本をベースにしたノベライズということになろうかと。

そんな先入観からかもしれませんが、ト書きで役者の演技に任せる心象風景がもっと文章で現れているといいのに、と思った次第。ついには危険なことに手を染めてしまう主人公の心の揺れと葛藤、子を思う切なさに紙面がもっと使われても……などど(汗)。

また、映像の重要なポイントになる小道具が巧みに伏線回収される様子が小説で先にわかりますので、映画を見ながら、シーンの重要性を確認する楽しみが生まれます……映画館に急げ!(笑)