【Book review】おめかしの引力
CULTURE
2025.04.01
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春はおめかしには最適の季節、ついでに恋でもしてみませんか。
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『おめかしの引力』
おめかしの喜びはトライ&エラーの果てにあり恋のよう。
でも独りで成立可能だから引きつけられるのね。
著 者:川上未映子
出版社:朝日文庫
定 価:726 円(税込)
どの本を読もうかと迷うことは、読書の始まりの楽しみ。
あてもなく本棚の前に立ち、何気なくふと手にした本のカバー(装幀)や帯の見出しに心踊らされて読み始めてしまう……という経験は皆さんもよくあろうことかと。
本書もワタクシ書評子からしてみればそういう一冊。本文中の著者の関西言葉で表現すれば「なんやこれ? 」でしょうか。なにやら「けったいな」第一印象をカバーに感じ、しげしげ眺めるとスカートに見えるのは? 赤い靴にまっすぐ伸びる細い脚は? ……その理由がわかって「なんじゃこりゃ」。
中身の芥川賞作家のエッセイもさることながら、外見(装幀:吉田ユニ 写真:間中字)からもう、めっちゃ‶おめかし”さん、です(笑)。
【本書のあらすじ】
2008年4月25日付から14年3月20日付まで「朝日新聞」に月イチのペースで連載された「おめかし」をめぐる失敗や憧れにまつわる魅力満載なエッセイをまとめた単行本(16年3月発行)がベース。
エッセイ執筆時は著者の妊娠→結婚→出産→育児の時期と重なっています。
「おめかし」をテーマにしながら、大事な時期のエピソードが進行形で盛り込まれていて、著者の飾らない人柄が伝わってきて面白い。そこに16年7月号から1年続いた雑誌「フィガロ」のエッセイ(「あらゆる魔法をオンにして」)を収録。
さらにインタビューを2本(「おめかしについて語るときにわたしたちの語ること」「おめかしについてわたしたちが知っている二、三の事柄」)を加え、単行本時より100ページ以上も増量して贅沢な一冊として19年9月に文庫化。
内容もどれもすてきな題名のもと、言葉の贅沢感を読めばたっぷり味わえます!
【著者について】
川上未映子(かわかみ みえこ)氏は1976年大阪府生まれ。
2008年『乳と卵』で芥川賞、09年詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で中原中也賞、10年『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞、13年詩集『水瓶』で高見順賞、『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞、16年『マリーの愛の証明』でGRANTA Best of Young Japanese Novelist、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞を受賞。
他に、『すべて真夜中の恋人たち』『きみは赤ちゃん』『ウィステリアと三人の女たち』『夏物語』など著書多数。文庫本カバーより(一部略)。
【レビュー&エピソード】
「朝日新聞」のエッセイと雑誌「フィガロ」のそれは文章量の違いもさることながら、書き方もずいぶん異なる方向で綴られています。
読み手の違いを考えた配慮に、著者はたいへん聡明な方なのだなぁと、読み比べてのまず最初の感想(当たり前のことではあるにせよ、さすが! )。
さらに、どちらも方向が違うにせよ、教養として知っておきたい実用情報もさりげなく盛り込まれていて、付せんがたくさん必要で困りました(苦笑)。
いわゆる‶ハイブランド″もバンバン登場します。けれども、大阪人のノリと著者ならではの表現力で親しみを感じさせてくれます。
背伸びしてでも値段も高級なブランドに、もだえ苦しみながら引き付けられる様子が伝わって来ます。
「一生使えば一日にかかる経費としては何十円……という女友達直伝のよくわからない計算方法」――で購入を決断するのですね(笑)。