【Book review】吉祥寺ドリーミンてくてく散歩・おずおずコロナ
CULTURE
2025.02.26
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「言葉の力」を信じてください。対話がどんどん続く魔法の言葉もあります
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『吉祥寺ドリーミンてくてく散歩・おずおずコロナ』
人は忘れる動物であることを忘れてはいけない
自称『言葉尻番長』が舌鋒鋭く日常の矛盾をついていきます
著 者:山田詠美
出版社:幻冬舎文庫
定 価: 957円(税込)
華々しい実績を有する人気作家山田詠美氏のエッセイ集です。
小学館の週刊誌『女性セブン』で連載されていたエッセイ(「日々甘露苦露」2018/8/9~2021/6/24)をまとめた単行本は2021年12月に刊行されましたが、その単行本を文庫化したのが本書です。
但し、そこに文庫の版元である幻冬舎の雑誌「GINGER」(現在休刊)に連載していたエッセイ「4Unique Girls」(2020年4月号~2024年3月号)も加わっているのがミソ。
もともと十分な文章量のエッセイ集にさらにたっぷりのエッセイが加わり文庫本はWバーガーのごとく肉厚もたっぷり(読み応えあり)です。
すでに単行本版は読み終えていても食指が動く人も多いのでは?(ワタクシもそのひとり・笑)。
ところで、エッセイが掲載されていた期間は、コロナ蔓延で世界中が大きな混乱に見舞われ多大な被害を受けた時期とも重なります。
「自粛」や「スティホーム」「リモートワーク」といった言葉によって新たな生活様式が推奨される一方で、世界規模で移動の制限が行われ、コロナを理由にした差別も多く見受けられました。
コロナの患者数の報道を固唾を飲んで自宅で見守るしかなかった日々を思い出し本書を取り上げます。
国内で初めて感染が確認されたのが2020年1月15日。
「ダイヤモンド・プリンセス」号が横浜港に入港したのは2月3日でした。
【本書のあらすじ】
エッセイの本数を数えたら「女性セブン」からの転載は100本、「GINGER」は45本でした。
文庫本のカバーの紹介では――幸せな無駄は、人の心を豊かにする。
目をつり上げて百円の得を求める人より、笑って百円損する人でありたい――。日々生まれては消える
喜怒哀楽、コロナ禍下の人間模様など、気付かないうちに時代に流され忘れてしまう極めて大切なものたちを拾い集めた極上のエッセイ集。
雑誌連載「4 Unique Girls」単行本未収録分を追加した大増量版!――とあります。
【著者について】
山田詠美(やまだ えいみ)氏は1959年東京都生まれ。
85年「ベッドタイムアイズ」で文藝賞を受賞しデビュー。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2001年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年『生鮮てるてる坊主』で川端康成文学賞を受賞。
他著書多数。――文庫本のカバーより(一部省略)。03年より芥川賞の選考委員を務めています(直木賞作家ではありますが……受賞歴を並べてみれば、審査員として相応しい実力をお持ちだからでしょうね)。
【レビュー&エピソード】
人気の町、吉祥寺を散歩するごとく楽しい夢想(ドリーミン)を繰り広げる日々の暮らしにコロナがじわじわと忍び寄ってくる、順に読み進めるとそんな様子が伝わります。
本書のなかで『言葉尻番長』を自認する著者が、コロナ禍下で、どんな言葉が飛び交い、おかしなもの(あるいは恐ろしいもの)であったかを指摘する内容で当時を振り返ることができます。
あれはいったい何だったのか……。