【Book review】対岸の家事
CULTURE
2024.09.05
🏠
おうち時間を大切にすれば、きっと家族にもよい影響が生まれます
🏠
『対岸の家事』
あなたの寂しかった日々が、誰かを助ける日が来る――
本書で繰り返されるフレーズに救われます!
著 者:朱野 帰子
出版社: 講談社文庫
定 価: 924円(税込)
おうち時間の長い主婦の最大の関心事は、やはり「節約」。
3年前の東京オリンピックよりもさらに日本は暑くなっているのではないのかなぁという噂話もあるなか、冷房のきいた図書館に涼みがてら(汗)本を探しに出向いてみました――とある㏚誌で本書がおススメされていたからです。
さて出向いた近場の図書館はワタクシ同様(汗汗)、涼を求める方々(?)もあってか結構な賑わい。
ところが検索機で探してみると本書はワタクシの住んでいる杉並区の図書館はすべて貸し出し中。やはり人気の本なのか――となると尚更、読みたくなるものです。
ならば、書店さんへと、阿佐ヶ谷駅前の「書楽」から引き継いでくれた「八重洲ブックセンター」へ。
棚で1冊見つけたときは、ワタクシに読んでもらうべく待っていてくれたようで感激! やっぱり書店さんは、知の集積場として街に必要です。
八重洲本店の閉店時にお伺いしましたが、復活するとの店長さんの言葉を信じています。
【本書のあらすじ】
購入した文庫本のカバーの裏表紙には――「家族の為に『家事をすること』を仕事に選んだ詩穂。
娘と二人だけの、繰り返される毎日。幸せなはずなのに自分の選択が正しかったのか迷う彼女の街には、性別や立場が違っても様々な現実に苦しむ人たちがいた。
誰にも頼れず、限界を迎える彼らに、詩穂は優しく寄り添い、自分にできることを考え始める――」とあります。
また、カバーにかけられているオビには「名も終わりもない家事に向き合う、専業・兼業主婦&主夫たちに起きるささやかな奇跡」「ハートフル家事小説」そして「24時間、年中無休。誰もが無関係ではいられない――育児・家事を担い直面する孤独。
優しさと癒やしに満ちた傑作長編」という本書の紹介が。さらに「手を抜いたっていい、休んだっていい」「そっと背中を押されて元気になる! 」という見出しがこれでもか、と本書に手をかけた読者の心を掴みます。
【著者について】
朱野帰子(あけの かえるこ)氏は1979年生まれ。
2009年『マタタビ潔子の猫魂』(MF文庫ダ・ヴィンチ)で第4回ダ・ヴィンチ文学賞を受賞しデビュー。既刊に、『わたし、定時で帰ります。』(新潮社)、『賢者の石、売ります』(文藝春秋)、『海に降る』(幻冬舎文庫)、『超聴覚者 七川小春 真実への潜入』『駅物語』(ともに講談社文庫)など。
近刊としては『わたし、定時で帰ります。―ライジング―』(新潮社)がある。と、文庫本の著者紹介にあります。
【レビュー&エピソード】
そこそこのボリューム(あとがきまで434頁)でしたが暑さを忘れて一気に読みました。
感想は「まいうー・笑」。家事という日常中の日常(誰かが必ずやっていること)をテーマにこんなにすてきなドラマが作られるとは。
でも逆に考えると、家事や育児は、もはや日常ではなく危機的な状況にさらされているのかもしれません。日本の少子化に至る理由は本書を読めば解かるのでは――政策を担う官僚や政治家の皆さんへの必読書にしていただきたい、と本気で思いました。
題名に「対岸の火事」になぞられて「家事」をあてている皮肉(上手い!)からも、決して他人事ではないと重ねて推しの理由にしたいと思います。