【Book review】カラフル
CULTURE
2024.05.03
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ジュニア向けのファンタジーという勿れ
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『カラフル』
傷ついた心を持つ高校生に向けたお話でしょうか?
いいえ、人生はやり直せるからと大人も勇気をもらえます。
著 者: 森 絵都
出版社:文春文庫
定 価: 715円(税込)
文春文庫の陳列棚で黄色いカバーが目立っていました。オレンジ色の帯も巻かれていてさらにインパクト大! 帯には「『高校生が読みたい文庫No.1』累計100万部突破の名作」とのコピーが誇らしげに謳っています。
ホントかな? と手にとって奥付を開いてみると、2023年の6月で68刷とあります。
どうやら人気度に嘘はなさそう。いまの高校生は、どんな物語がお好みなのか?との好奇心から、レジへと足を向けることに。加えて帯にあるもうひとつのコピー「大人も泣ける青春小説!」も背中を強く押してくれたのです。
【本書のあらすじ】
文庫本のカバーのあらすじには
――「生前の罪により輪廻のサイクルから外されたぼくの魂が天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真(まこと)の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになる……。老若男女に読み継がれる不朽の名作」
――とあります。絶望にぶちあたった時は、この作品の「ぼく」のように第三者の視点から客観的に自分を見つめ直す手法は有効です。
【著者について】
購入した文庫本の著者紹介をもとにすると――森 絵都(もり えと)氏は1968年東京都生まれ。
早稲田大学卒業。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。
同作品で椋 鳩十児童文学賞(91年)。 『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞(95年)、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞(95年)。
『アーモンド入りチョコレートのワルツ』で路傍の石文学賞(98年)、『つきのふね』で野間児童文芸賞(98年)、本作『カラフル』で産経児童出版文化賞(99年)、『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞(2003年)、『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞(06年)、『みかづき』で中央公論文芸賞(17年)。
――と、名作を次々と世に送り出しています。
【舞台&背景】
この作品の発表が1998年なので、26年前の中学3年生の世界を描いていることになります。
古くささを感じないのは、中学生の暮らしや悩みがそんなに変わっていないからか、それとも、現在の中学生のことを私が少しもわかってないからか(苦笑)。そもそも帯にあった『高校生が読みたい文庫No.1』の主人公が中学3年生でよいのかとも思いましたが、高校生の読者は少し前のことを振りかえりたいのかなぁ、なんて考えも生まれた次第です。
【レビュー&エピソード】
児童書出身の著者ですが、シニア向けの物語でもありそうな設定が……例えば援助交際であったり不倫であったり。
物語に登場する中学3年女子のパパ活(今の言葉に変えれば)は、相手の大人は確実にお縄を頂戴すること
になりますね…。
映画化もされていて実写版の母親役は阿川佐和子氏が演じたと(不評であったとも)解説でふれられています。U-NEXTではそのドラマは見つけられませんでしたがアニメ版は見ることができました。
キーマン(道化師役)となる天使は関西弁の少年でちょっと驚き(笑)肝心な物語の結末も大きく意表を突かれるので乞うご期待です!