【Book review】すみれの花の砂糖づけ
CULTURE
2024.02.17
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言葉のチカラを読書でつけよう!
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『すみれの花の砂糖づけ』
言葉で自分が自分であることを表現する
詩なら自分の思いを自由にきちんと出すだけでいい
著 者: 江國 香織
出版社:新潮文庫
定 価: 693円(税込)
「言葉のチカラを読書でつけよう」が今月のテーマ。
読書家の友人がずいぶん前に「読んで衝撃を受けた」と勧めてくれたのが本書です。
恥ずかしながら、現代作家の詩集を手に取るのは初めて💧それを聞いた友人の呆れたようなまなざしのもと冷たい汗を拭き拭き、モード学園が入る西新宿コクーンタワーの書店・ブックファーストに。
言葉のモードを学ばなければ(!!)――ですね。
【本書のあらすじ】
小説の華々しい賞歴を持つ著者ですが、詩作もあります。1999年に理論社から最初の詩集(題名同じ)が単行本として出されました。
その後、雑誌に発表された12作品を加え文庫化したのが本書です(2002年刊行)。
全部で71編の詩が収められていて、文庫本のカバーには、〈すみれの花の砂糖づけをたべると/私はたちまち少女にもどる/だれのものでもなかったあたし〉。
恋人と心のまま体を重ねもするし結婚をしているしどこへでも旅することができる。大人の自由、大人のよろこび。だけど少女のころ、一人決然と向き合った、ままならなさ、かなしみは、変わらず健在ではないか!――言葉によって勇ましく軽やかな、著者の初めての詩集。――とあります。
【著者について】
江國 香織(えくに かおり)氏は1964年、東京都生まれ。
‘87年『草之丞の話』で「小さな童話」大賞、‘89年『409ラドクリフ』でフェミナ賞、‘92年『こうばしい日々』で坪田譲治文学賞、同年『きらきらひかる』で紫式部文学賞、‘99年『ぼくの小鳥ちゃん』で路傍の石文学賞、
2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、‘04年『号泣する準備はできていた』で直木賞、‘07年『がらくた』で島清恋愛文学賞、‘10年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文芸賞、‘12年『犬とハモニカ』で川端康成文学賞――文庫本のカバーより(総なめですね)。
【舞台&背景】
詩集が出たのは著者が30代半ば。大人ならではの赤裸々な性への欲求表現もあります。
解説の町田 多加次(まちだ たかじ)氏の言葉を借りると「少し困ったような気持ちになったり、それから少し羨ましく思ったり」ということになります。
子供時分の気持ちや家族関係やその日常を題材にした詩も多々ありますが、町田氏によると「江國さんは、どうしても、恋人や、家族や、世間と折り合えないところがあるに違いない」と解説します。
そして著者を幼い頃からの筋金いりの「さわやかなニヒリスト」として結論づけるのです。
【レビュー&エピソード】
丁寧に丁寧に作られた小さなお菓子のように、ことば選びや改行など、気を配りつくした詩ばかりですから、詩が生まれた時の情景や余韻を楽しまなければいけません。
ただ読み進むだけでは、地下鉄丸の内線の新宿と荻窪間で、ほぼ読み尽くしてしまいます💦
「すみれの花の砂糖づけ」は、ほのかな甘さと春の香りを味わう優雅なお菓子。オーストリアのウィーン王宮御用達菓子店「デメル」が有名。ピアノの詩人ショパンも愛したのだとか。
花びらに卵白を薄く塗ってグラニュー糖をまぶし日陰で2~3日乾燥させて作ります。