【Book review】ファーストクラスで世界一周

CULTURE

2023.09.05

 

😊

本って、やっぱり

自分へのご褒美なんだと思います。

😊

『ファーストクラスで世界一周』

 

現代版シンデレラ物語なら、エコノミーから

ファーストクラスへの変更が一番わかりやすい

 

著    者: たかせ藍沙

出版社:ブックマン社

定    価: 3,080円(税込)

 

コロナ禍が過ぎ、インバウンドの外国人観光客の姿をたくさん見かけるようになりました。

逆もしかりで日本から海外に向けての旅(アウトバウンド)も確実に増えています。

2023年6月15日付の日本政府観光局の発表によると、3月の出国者数は694,293人と前年同月比で882.3%の増加。それでも2019年の3月の出国者数193万人と比べればマイナス64%と、まだまだ海外旅行の伸びしろは十分にあると言えます。

本書は2018年9月に初版発行、2019年11月には4刷を重ねていて、コロナ禍前の海外旅行者のニーズに応えていたことがわかります。海外旅行が失われた3年の月日分、溜まった旅への想いと貯まったお金の解決法として、我慢を重ねた自分へののご褒美そして旅の解禁のお祝いにと、ファーストクラスの旅に夢を持つ、新たな読者のニーズがきっと生まれているのでしょう。

新しいシンデレラストーリーの始まりです。

 

 

 

 

【本書のあらすじ】

 

単独都市間の航空運賃より周遊チケットのほうが一空路で比較すると安くなる。というのが、まず第一のミソ。

しかも、ファーストクラスの世界一周航空券なら、金額の差額をはじめ、満足度は最大になるというのが、本書のいちばん訴えたいこととなります。「でも、お高いんでしょう」というなかれ、世界一周航空券の購入が100万円台から(16回飛べるので、1フライト6万円台から)で可能です。

世界一周航空券はエコノミーが35万円程度との説明がありますので、その3倍弱でファーストクラスに乗ることができるわけです。その金額でエコノミーをベースにした旅のあしらいが雲泥の差に。頁をめくれば、その優雅さに圧倒されます。さらに、この世界一周航空券は一度に使い切らなくても1年以内に分けて使うことが可能という嬉しいおまけも。

これで、買うなら絶対、世界一周航空券(しかもファーストクラス!)ですね。構成は5章立てになっていて、世界有数の観光地の紹介に続く1章はトラベル&スパジャーナリストの肩書を持つ著者が実体験したファーストクラスの旅の数々とエピソードを。

 

 

 

2章にはファーストクラスの乗客だけに対する各航空会社の十分なおもてなしの数々を、これでもか、これでもかと紹介。旅が始まる前の、搭乗を待つ間の専用のラウンジから、特別の扱いを受けていることがよくわかります。搭乗後も、完全個室となる機体を持つ航空会社の紹介など(まさしく空を飛ぶホテル)。

さらに専用シェフが用意するコースの機内食にテイスティングも可能なワインの数々も。食事の時間以外にも提供可能なおつまみや間食の紹介もあって、せっかく贅沢なベッドがあるのに、寝る間も惜しんで楽しむ飲食のシーンが誌面から想像できてしまいます(笑)。

 

 

 

 

後半3章は、旅のルートづくりから、世界一周航空券の買い方、貯まったマイルの特典まで、親切丁寧に設けられています。問い合わせ先のリストも十分ですので自分でチャレンジしてみようという気にさせてくれます。

自分で考えた旅だから世界一周の旅がおトクにファーストクラスでできるのですし、苦労したぶん、旅の喜びや思い出も強く残ります。さらにマイルの特典でご褒美の旅もついてくる、といいことずくめというわけですね。

 

 

 

 

【著者について】

 

たかせ藍沙(あいしゃ)氏は東京生まれ。

㏚誌、女性誌、旅行誌の編集を経てフリーランスに。初版発行当時の奥付によると、南太平洋から北極圏まで渡航150回超・70カ国超。海外スパ取材250軒超、ホテル取材900軒超、ダイビング歴800本超、上陸した島数知れずとあります(現在も記録を更新中)。

著書に『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』(ダイヤモンド社刊)

MOOK『LOVE ROSE! 薔薇のチカラでもっとキレイになる!』(宝島社刊)と案内があり、また雑誌クレアのウェブ版でもファーストクラスの旅が堪能できます。

『たかせ藍沙のファーストクラスで世界一周』

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著者のSNSの記載も以下のようにありました。

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【レビュー&エピソード】

 

大判(断ち切りの一枚写真は迫力満点)で216Pの7割以上がカラー、残りが2色刷りのたいへんぜいたくなつくりです。

活字も大きくて読みやすい(時間とお金に余裕のある少しご高齢の方も意識されているかしら?)。さて、工夫してファーストクラスに座るということは、経費と時間に切り詰められるビジネス旅よりもプライベート旅ならでは特典かもしれません。会社からは許されない100万円の旅を自ら自分へのご褒美にするという発想は、幸福を尺度にするなら、夢の値段として決して高くはないと思ってもいいのではないのでしょうか。

同じ移動手段でもある軽自動車の新車価格は、たいてい100万円を軽くオーバーするのですから。

 

 

 

著者からの情報によると、コロナ禍前の単独都市間の航空運賃のエコノミーとファーストクラスの格差は40~50倍あったとのこと。現在はエコノミー、ファーストクラスともに値上がりしていて日本航空のロンドン往復運賃はファーストクラスで約340万円(2023年7月13日現在)になりました。それに反して世界一周航空券は値上がりしていません。

同じファーストクラスなのに、約1/3の金額でロンドンに行けてしまう。益々、シンデレラのガラスの靴ならぬファーストクラスの世界一周航空券が欲しくなってしまいますね。閑話休題。

ウエルカムドリンクのシャンパンは上空でいただくのがコツなのだそうです。その理由は……本書を開けばわかります(笑)……なんて言わずに……答えは、高級なものは上空で開けるからのだとか。

慌てずあせらず、なんてったってファーストクラスなのですから、乗り換えの時間も含めて到着するまでサービスが尽きることはないのです。