大奥の食卓 ―― 長く美しく生きる「食」の秘密
CULTURE
2022.06.13
著者:緋宮 栞那
出版社:講談社+α新書
定価:922円(税込)
今も昔も女性の悩みは変わらず。
本書では江戸時代の大奥で流行した美と健康の情報を現代に伝えます。
最盛期には1000人の女性が仕えたという大奥では、何を食べ、どんな暮らし方をして美を競ったのでしょうか。現代人が倣うところは、きっとあるはずです。
結論から言うと、美人効果を得るには、伝統食がいちばん、ということになるのですが、大奥で供された食品や食べ方に現代の科学的根拠を加えているので、説得力があります。例えば、味噌、芋、魚を「大奥の三大美人食」と挙げていますが、味噌は言わずと知れた効能効果の高い発酵食品であること、大奥で食された芋類のなかでは里芋は低カロリーで太る心配がないという解説がつきます。
また美肌には、鯛、鱈、鮭が良いとする、元禄10年(1697年)発行の「本調食鑑」を取り上げ、鮭の身を赤くする「アスタキサンチン」という色素は、肌の老化を防ぐ抗酸化作用がとても強いこと(ビタミンEの1000倍とも)を説明。
その他の老化防止や美白をつくる食材の紹介とともに現代の食卓用のレシピもあり、また当時の化粧術にふれる章もあったりと、切口は多方面から、内容盛りだくさんの一冊です。