【Book review】透明カメレオン
CULTURE
2026.10.06
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素性の知らない人の正体が明らかになるところも友達づくりみたいで面白い
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『透明カメレオン』
縁が縁をよんで大団円につながる人情ミステリ
こんなお店の常連になれたらいいなぁ。
著 者:道尾秀介
出版社: 角川文庫
定 価:792円(税込)
訪れる頻度はさまざまだとしても行きつけの店がないという人は皆無ではありませんか。
生まれてから死ぬまで移動を続けていて、生活は毎日違った町で行うというのであれば、行きつけとか馴染みといった言葉には無縁になるのでしょうけれど。そんな人はそれこそ皆無のはず。
行きつけとか馴染みという関係性が社会とのつながりで重要なのでしょうね。本書は晩酌好きを公言する読書家の友人からの紹介です。
読書と行きつけの飲み屋があるのなら人生は3倍豊かになりますね(笑)。

【本書のあらすじ】
カバーの紹介文を引用しますと――ラジオパ―ソナリティの恭 太郎(きょう たろう)は、素敵な声と冴えない容姿の持ち主。
バー「if」に集まる仲間たちの話を面白おかしくつくり変え、リスナーに届けていた。大雨の夜、びしょ濡れの美女がバーに迷い込み、彼らは「ある殺害計画」を手伝わされることに。
意図不明の指示に振り回され、一緒の時間を過ごすうち、恭 太郎は彼女に心惹かれていく。「僕はこの人が大好きなのだ」。秘められた想いが胸を打つ、感涙必至のエンタメ小説。

【著者について】
道尾 秀介(みちお しゅうすけ) 氏は、1975年生まれ。
2004年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、デビュー。05年に上梓された『向日葵の咲かない夏』が08年に文庫化され100万部を超えるべストセラーに。
07年『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞、09年『カラスの親指』で第62回日本推理作家協会賞、10年『龍神の雨』で第12回大藪春彦賞、『光媒の花』で第23回山本周五郎賞を受賞。
11年、史上初となる5回連続候補を経て『月と蟹』で第144回直木賞を受賞。他に『スタフ』『風人の手』など著書多数――と版元のH.P.に(一部略)。

【レビュー&エピソード】
主な舞台となるのが浅草ビューホテル近くの雑居ビル4階にある飲食店「if」。
文庫の紹介ではその店をバーに位置付けていますが、(作品中説明なし)接客の内容しだいで、カウンターだけの同じようなつくりでも、バーかスナックかと呼び名が異なるようです。
試しにスマホのチャッピー(ChatGPT)に尋ねてみたら、バーとはバーテンダーがお酒をつくり「お酒と雰囲気」を楽しむ店、一方、スナックは、ママや女性スタッフとの会話を楽しむのが中心で客同士が仲良くなることも多く常連が多い店、となりました。
そうなると主人公の恭 太郎が通う「if」はスナックというくくりのほうが相応しいのでしょうね。
さて、常連が集う飲み屋に素性のわからぬ新入りが加わったことで謎解きが始まるミステリ。紫陽花(アジサイ)を「しようか」と読ませて物語を動かしてみたり…ちょいとおマヌケ要素も加わって読み応えはたっぷり。
題名の『透明カメレオン』の由来となる箇所は割とあっさりしていて斜め読みでは見つけづらいところも謎解きのひとつなのかも(笑)。
ところで解説を担った鈴木おさむ氏は「縁と縁が集まって円になる」と、ものすごくいいことを書かれています。この物語の根っこの部分はそこにあるし、どんな人も縁があっての人生なんですよね。こんな店の常連になれたらいいなぁ。と読みながら何度も思いました。仲間に入れてもらえるでしょうか(笑)。
