【Book review】世界を、こんなふうに見てごらん

CULTURE

2026.06.10

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また会いたい人がいる。本の世界なら何度でも何十年ぶりでも支障はありません。

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『世界を、こんなふうに見てごらん

同窓会で恩師に再び出会ったような感情が沸き起こる

日高先生、相変わらず良い加減なことをおっしゃいますね

 

著    者:日高敏隆

出版社: 集英社文庫

定    価:605円(税込)

 

日曜日の午前中にNHKラジオで放送されている「子ども科学電話相談」の回答者が別の番組で日高敏隆先生(著者)の思い出を語っていました。

人生に良い影響を与えてくれる方に恵まれた人は、それだけでもう十分に幸せだと思います。出会えてない人は本という便利な道具を使って、あまたの先人や、同時代に生きる人たちのなかから自分の目を開かせてくれる先生を見つける……ということになりますね。

読書体験の中ですでに恩師を見つけた読者もたくさんおられるのでは?

梅雨入り前に本棚の虫干しを兼ねて蔵書を見直してみることは、お世話になった恩師に出会える同窓会のように思えて楽しいですね

また、年月が経った思い出深い書物に再び出会うと、読書時の古い記憶が蘇り……「若気の至り」なんてフレーズが浮かんだり(苦笑)。さらに、めくる頁の劣化具合が気になると「お互い年をとりましたね」などと旧友と声を掛け合うようでもあり……それもまた楽しい。

では、お世話になった日高先生のお話を聞きに、久しぶりに本を開いてみましょうか。

 

 

 

【本書のあらすじ】

 

「生きているとはどういうことか、豊かな見方をするといいと思う」で締めくくられた「はじめに」から続くエッセイは10本。

そして先生の語り口調そのままの「講演録」があり、さらに、最期の様子を教え子の今福道夫氏が「あとがき」で伝えています。版元の集英社のH.P.には【日高先生の人間、どうぶつ、いきものがたり】のタイトルのもと――動物行動学者が、生きものと自然のユニークで新鮮な見方を、子どもでもわかる言葉でシンプルに伝える。

21世紀に生きるすべての人々に贈る、やさしい自然の魅力発見の書(解説/篠田節子)――と紹介されています。

 

 

 

 

【著者について】

 

日高敏隆(ひだか としたか)氏は2009年11月にお亡くなりになられています。

1930年東京生まれで東京大学理学部動物学科卒業。東京農工大教授、京都大学教授、滋賀県立大学初代学長、総合地球環境学研究所初代所長などの要職を歴任しながら動物行動学者としての地位を固められました。

2000年に南方熊楠賞、08年瑞宝重光賞を受賞されています。主な著書に『チョウはなぜ飛ぶか』『春の数え方』があります(初版文庫本カバーより)。巻末の解説で篠田節子氏は2002年に初めて出会った時の印象をこんな風に伝えます――目の前に現れた「日本の知の最高峰」は意外なことに体のどこからも「偉そうオーラ」を放ってはいなかった。(中略)夕暮れ時、どこからともなく現れる小柄な老人の姿を借りた水の精か森の神か仙人か。

今昔物語にでも出てきそうな方だな、と思った――そうです。

 

 

 

 

【レビュー&エピソード】

 

「ぼくは、小学校のころ学校に行かなかった」とエッセイの出だしでまず掴まれました。

また、著者に関わった方々の思い出話を手にする機会があるたびに私も日高先生の講義をライブで拝聴したかったなぁ、と強く思います。

生(なま)の人物としての魅力をリアルに感じてみたかった。さて、解説のなかで「先生は『いいかげん』という言葉をよく使われる」とあります。『良い加減』に近いニュアンスで人の知の限界を自覚したうえで、余地を残しておく意味として使われるのだそうです。ますます魅かれていきますねぇ(笑)。