【Book review】ナラタージュ

CULTURE

2026.01.31

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先生”という呼びかけの裏側には恋の呪術が隠れているのです

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『ナラタージュ

最後の場面を主人公に語らせるための長い道のり

救われない恋の火を消さなかったのは何故?

 

著    者:島本理央

出版社:角川文庫

定    価:660円(税込)

 

「ナラタージュって何?」ってChatGPTに尋ねると即座に「『語り手(ナレーター)の視点や言葉によって構成される表現・物語のあり方』を指す言葉」との回答が。

Narrative(物語・語り)とmontage(編集・構成)を組み合わせた造語。ともあり、さらに一言で言えば「出来事そのものではなく、“語られた記憶としての物語”」とあります。

また日本では、本書とそれを原作とした映画によって広く知られるようになったとも。

本書には解説はついていないので、自分なりの味わい方を見つけていくしかありません。ChatGPTのアドバイス(語り=主人公の内面。現実の出来事が、語りによって美化・歪曲・再解釈される)を参照に本書に向かおうと思います。

 

 

 

 

【本書のあらすじ】

 

アマゾンでの本書の紹介は割とあっさりめですが、文庫本のほうは登場人物の濃厚で激しい心情を伝えます。

背表紙の紹介文をそのまま引用すると――お願いだから私を壊して、帰れないところまで連れていって見捨てて、あなたにはそうする義務がある……大学2年の春、母校の演劇部顧問で、思いを寄せていた葉山先生から電話がかかってきた。

泉はときめきと共に、卒業前のある出来事を思い出す。

後輩の舞台に客演を頼まれた彼女は先生への思いを再認識する。そして彼の中にも消せない炎が紛れもなくあることを知った泉は……。早熟の天才小説家、若き日の絶唱ともいえる恋愛文学――と著者をたたえています。

 

 

 

【著者について】

 

文庫本カバーから抜粋をしますと――島本理生(しまもと りお)氏は、1983年東京生まれ。

2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。

03年都立高校在学中に『リトル・バイ・リトル』が芥川賞候補となり、同年野間文芸新人賞を史上最年少で受賞。

『生まれる森』(04年)、『大きな熊が来る前に、おやすみ』(06年)も芥川賞候補となる。著者多数――となります。

 

 

 

【レビュー&エピソード】

 

なんだかまどろっこしく感じてしまうのはナラタージュの手法によるものなのか。

小野君という素敵な彼ができたのに、かつての担任への恋の炎を燃やし続ける主人公・泉の態度がいけないのか。いやいや縁を切るべきなのに切らない葉山先生がいちばんいけないのでは?

たとえプラトニックだとしても不適切だし、泉が次のステップに踏み出そうとするタイミングでコンタクトをとったり……。

順風満帆なら物語にはならないのは承知の助ですが(笑)。

そもそも、この葉山先生の魅力がいまひとつピンとこない。ナイーブな人であることはわかるけれど……小野君もそう感じるからこそ自分より葉山先生に気持ちが向かう泉にイライラしてしまうのでしょうね。

ところで、作者の島本理生氏は昨年初頭に叔父と姪が恋愛関係となる小説(『天使は見えないから、描かない)』を発表しています。

それに関連づけて女性週刊誌の取材を受けていますが、その記事中『ナラタージュ』の恋愛対象は、部活の担任教師ではなく当初は叔父の設定だったとのこと(さらに、不適切!)。

年齢差もさらにあって性虐待との線引きも難しくて諦めたということです(未成年者ですからね、すなわち淫行と処罰されますね)。

また映画化(2017年10月公開)にあたっては主人公・泉を有村架純、小野君を坂口健太郎、葉山先生は嵐の松本潤が演じています。