かもめ食堂

CULTURE

2021.08.19

 

著者

群 ようこ

幻冬舎文庫

定価:本体500円+税

 

ファンもたくさんいるし、今さら取りあげることもないかもと躊躇。でも気が滅入った時、こんなコロナ禍なら尚更、必要な一冊。弱った心の活力剤、日々の暮らしに勇気をもらえる佳作としてご紹介させてください。

 

日本での息苦しさを感じ、国外に脱出することにした38歳、41歳、50歳の女性3人がメインキャストのお話。いちばん若いサチエさんが主人公で、北欧の国フィンランドで「かもめ食堂」という大衆レストランを開くところからお話は始まります。最初は開店休業中だった食堂が三人の女性がここに集まる中で徐々に繁盛する様子が描かれます。父親から教わった古武道と『人生は修行』の標語で鍛えられた主人公の物事に動じないキャラクターは頼もしく「正直にやっていれば、ちゃんと、どうにかなるんです」というセリフに励まされます(コロナ禍でもガンバロウ)。

 

(また今さらですが)映画化されていて、主人公に小林聡美さん、片桐はいりさん、もたいまさこさんが脇を固めます。この映画がまたいいんです(笑)。シンプルだけど豊かな北欧の暮らしは目の毒になるほどステキ。思い返しては本書と一緒に何度も楽しみます。