生贄探し 暴走する脳

CULTURE

2021.05.14

著者

中野信子

ヤマザキマリ

講談社+α新書

定価:本体880円+税

 

行列必至の人気の食パン屋さん「セントルザ・ベーカリー」に並ぶ間に読もうかと有楽町の三省堂で購入。本年4月発行と、欲しいパンと同じく出来立てホカホカです。

 

脳科学者の中野信子さんとご存じ「テルマエロマエ」の作者ヤマザキマリさんの対談(3章)が中心。はじめの1章が中野さん担当、おわりの1章がヤマザキさん担当の構成です。

 

このコロナ禍の「正義中毒」のパンデミックを後世に伝えねばとの発行ですが、奇しくも4回めの緊急事態宣言発令直前でした。

 

人間の行動は実験できないので、歴史から学ぶしかないのですが、中野さんは中世の「魔女狩り」から、ヤマザキさんはお得意の古代ローマ帝国の「ネロ」から大衆心理も併せて古今東西を問わず生贄を求める人間の心理を読み解こうと試みます。

 

結局、群れのなかで生きている限り、生贄にされる恐怖と戦っていかなければならないのなら、独りぼっちがいい。という考えも成り立ちます。「おわりに」でヤマザキさんが紹介していますが、アカデミー賞3部門をとった映画「ノマドランド」が観たくなりました。