【Book review】男と女 恋愛の落とし前
CULTURE
2025.04.15
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春はおめかしには最適の季節、ついでに恋でもしてみませんか。
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『男と女 恋愛の落とし前』
恋愛とは永遠の謎。謎に向かっていくのは冒険。
冒険には怪我はつきもの。大人の女性の冒険譚集。
著 者:結川恵
出版社:新潮新書
定 価:924 円(税込)
春は、卒業式に入学式……新年度に伴う新生活も始まって、着飾る機会が増えてくるというもの。
別れや出会いに、ご縁もついでに生まれる……かもしれなくて、春はまた「恋の季節」とも言われます。「おめかししてデート」なんて表現も春に相応しいのかも(笑)。
ただ、「恋」の種類もいろいろあって、「道ならぬ」が頭につく恋があることも事実。その事実をもっと理解するためには「人のふりを見る」ことも大切……かと。
そこで、訳ありの恋に取り憑かれた大人の女性の経験談をまとめたこんな新書はいかがですか?
春になり、恋愛の心機一転も図りたい方が、もしやいらっしゃるのであれば……ご参考に‼
【本書のあらすじ】
カバーのオビから刺激的なフレーズが……。
他人の男を奪い続けて20年、何不自由ないのにPTA不倫、経済力重視で三度離婚……36歳から74歳まで12人の女性のリアルな証言を、「恋愛小説の名手」と呼ばれる直木賞作家が冷徹に一刀両断。
「大人の恋には大人の事情があり、責任がある」「恋愛は成功と失敗があるのではない。成功と教訓があるだけ」
――恋に浮かれる人にも不倫の愛に悩む人にも、人生を狂わされた人にも、珠玉の名言にあふれた「修羅場の恋愛学」。……とあり、「読みたい・知りたい」欲求がいけない恋の始まりのように心をざわつかせておこります。
【著者について】
唯川 恵(ゆいかわ けい)氏は1955年石川県金沢市生まれ。
銀行勤務などを経て、1984年「海色の午後」でコバルト・ノベル大賞を受賞。恋愛小説やエッセイで、多くの読者の共感を集めています。2002年『肩ごしの恋人』で直木賞、08年『愛に似たもの』で柴田錬三郎賞を受賞。
著書は『ベター・ハーフ』『燃えつきるまで』『100万回の言い訳』『とける、とろける』『天に堕ちる』『セシルのもくろみ』『雨心中』『テティスの逆鱗』『手のひらの砂漠』『逢魔』『啼かない鳥は空に溺れる』など多数――新潮社のH.P.より。
【レビュー&エピソード】
「35歳以下閲覧注意!」とオビにマークが入っているのは、ケーススタディで登場する訳ありの恋愛経験者が36歳だから?
「大人の恋バナ」であることは間違いないのですが、いわゆる「墓場に持っていく話」が多い構成で、よくもまぁ、こんな劇的な恋の持ち主をこの企画のために集めたものだなぁと感心!(逆に集めやすかったのなら……何故に?‼)
幸せの相談ではウケないことは自明の理ですからね、他人の不幸は蜜の味です(苦笑)。
ところで、新潮新書なら読者対象は、やはり、大人の男性がメインとなりましょうか。「男たちは知らないと思うが」という書き出しで「女は、ある種の男に対してもう女を捨てていると思われるほうが、ずっと楽に生きられる、という知恵をすでに身に着けている」という一節があります。
「もう男でない男に対して、大人の女は、決して女を出さない」という点で心当たりを感じる男性も……(泣)。一方、ウェブ「読書メーター」の女性の感想には「その年で恋愛ができるなんて素敵」とも。
本書内の著者の激励は――「恋愛とは、この一瞬のために永遠を捨てても構わない、と思えること。そう思えるのは老いてからの恋しかないのかもしれない」――と熱い‼