【Book review】怪談
CULTURE
2024.08.07
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「怪談」の読書で心から涼しく! 寝つけない夜の猛暑対策のひとつに
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『怪談』
知ってはいるけれど、何度も読みたくなるのは名作の証
怪談噺の名演者に朗読していただくと汗がひきそう!
著 者:ラフカディオ・ハーン(南條竹則:訳)
出版社: 光文社古典新訳文庫
定 価: 902円(税込)
いわずと知れた日本名小泉八雲。
日本を愛したハーンが、古来の文献や伝承をもとに創作した傑作怪奇短編集とH.Pのフリにあります。梅雨あけの猛暑で寝苦しい夜の読書の時間にKindleの読み放題で見つけました。
【本書のあらすじ】
「耳なし芳一の話」「むじな」「ろくろ首」「雪女」日本の文化、伝統、習慣を世界に紹介し、いまや「日本文学の古典」とも言えるハーンの代表作。昆虫エッセイ「虫の研究」も収録。と版元の光文社のH.P.にあります。
【著者について】
ラフカディオ・ハーン(Lafcadio Hean)氏は1850年ギリシャ生まれでイギリス育ち。
アメリカに渡って新聞・雑誌の記者として働き、1890年来日。島根県の松江に英語教師として赴任。
その後東京帝国大学の講師として英語を教える傍ら、日本文化についての数々のエッセイ、小説を著す。1896年帰化、日本名は小泉八雲(こいずみ やくも)。
『東の国より』ほか著者多数。1904年没(享年54歳)。
【訳者について】
南條竹則(なんじょう たけのり)氏は1958年、東京都生まれ。東京大学卒業。
1993年、『酒仙』で第5回ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。小説、エッセイ、訳書など著者多数。
※著者・訳者とも光文社のH.P.を参照。
【舞台&背景】
著者が記した序文には1904年1月20日付とあり、明治37年の作品です。2月に日露戦争が始まった年でもあり、非常にたくさんの戦死者が出るなかで9月には与謝野晶子は反戦詩「君死にたまふことなかれ」を発表しました。
その序文には冒頭から、ここに収めた怪談(すなわち不気味な話、不思議なことの物語ともハーンは表記)の大部分は日本の古い書物――『夜窓鬼談』、『仏教百科全書』、『古今著聞集』、『玉すだれ』『百物語』などから採ったものであると正直に明かしています。
「雪女」は、武蔵の国、西多摩郡調布(現在の東京都青梅市)のある百姓が、生まれ故郷の村の言い伝えを話してくれたものだとも。
【レビュー&エピソード】
怪談として本書で紹介されるのは17話。どの話も注をふられた言葉の解説が末尾にあり、なかには風呂敷の解説――木綿などの生地の四角い布で、小さい荷物を包んで運ぶのに用いられる。
――があって、なんでこんなことまでも、と思ったのですが、ハーンにしてみれば不思議な言葉に感じたのでしょうね。
ところで質の高い睡眠を得るには、寝室や寝具の環境改善のほかに寝入りばなの習慣が大切なのだとか。寝酒はもちろん、スマホを寝室に持ち込むのはもってのほか。
かわりにおススメは読書だそうです。長編はお話に引きずりこまれると、就寝が遅くなってしまうのかも(それならそれで翌日早く眠くなればいいとのことですが……)。
その点、本書のような短編集ならば、区切りよく読めてそのまま熟睡……という夜を送れます。実際にワタクシもその通りでした(笑)。